一葉を読みたいのだけれど、独特の擬古文はあまりに読みにくくてしり込みをしていましたら、現代語訳の文庫本があると知り飛びつきました(笑)。やはり文章のリズムなどの味わいは、原文を読まなければわからないので、そちらも読むつもりですが、一先ずは現代語訳で内容をあらあら把握できてとても助かりました。
天才ってこういう人を言うのだよな〜、と心の底から唸らされる嬉しいひと時。紫式部、清少納言、与謝野晶子と並べられる理由がわかります。素晴らしい写実。鋭い人間洞察。世の中の片隅で、人生に苦しみ悩む様々な立場のひとびとの心が本当に見事に描かれています。作家としての力量とともに、その潔い、澄み切った詩人としての覚悟は、20代の若い女性とは思えません。
多くの作品の中で人間の悲しい運命を写し取りながらも、その作品が決して感傷に堕さないのは、自らが地に足をつけ、詩のこころを持ったまま濁世の只中で生き抜くことを是とし誇りとした、一葉の逞しい信念のためではないでしょうか。
一葉は女所帯の頭として生活と苦闘し、世間から侮られて悔しい思いも沢山しながら作品を発表していく。社会問題にも関心を持つ。生きることに断じて背は向けない、その神々しいまでの凛々しさに、同性として最敬礼の思いがします。もっと若い女性に読んでほしい作家です。