ジェームズ・サーバー(文)とルイス・スロボドキン(絵)のコンビが手掛け、1944年度の権威あるカルデコット賞の栄誉に輝いたアメリカの古典的名作絵本です。
昔海辺の王国に住んでいたもうじき十一歳になろうとする小さなお姫さまレノア姫が、木いちごのタルトを食べ過ぎて病気になりました。姫の父君である王様が駆けつけて「なにか、ほしいものはあるかい?」と聞くと、お姫さまが「お月さまがほしいな」と答えたからさあ大変です。
王さまが何とか姫の願いを叶えてあげようと必死になり、大臣、魔法使い、数学の大先生に順番に相談しますが、みんな言い訳ばかりして結局はさっぱりらちがあきません。それぞれにこれまで自分の成し遂げた業績が書かれた巻き物を見てズラズラと読み上げながら、ついでに奥さんから渡されたメモ書きを間違えて一緒に読んでしまう小ネタギャグを入れるのが面白いです。やがて最後に半ば諦めの気分が漂う中で王さまが相談するのが、リュートで悲しい曲をつまびくお城の道化師で、果たして彼はこの誰もが真剣に頭を抱えて悩む難題を叶える事が出来たのでしょうか?この道化師の偉い所は自分だけで答を出そうとはせずに、当のお姫さまの考えを聞いて問題解決のヒントをもらおうとした事でしょうね。そして最初はどうにかこうにか誤魔化して乗り切った物の、二度目はもうどうやっても駄目かとみんなが絶望しかけた時に、びっくりしてしばしあ然となる結末がやって来ます。その答えはきっと大人が一生考えても思いつかないだろう無邪気な物で、既に読んだ方は思わず目を開かされる気持ちになられた事でしょう。おそらく大人の心配には全く気づいてもいない無邪気なレノア姫は、少しわがままだけれどどうにも憎めない存在ですよね。大人が子どもに振り回され一時は深刻な気分になりますが、最後は心が晴れ晴れとして微笑ましくなる時を超えて愛される素晴らしい名作絵本をあなたもぜひお読みくださいね。