一か月ごとに3つのレシピで合計36種類、夏は冷たいデザートも紹介されていますが、ほとんどはお得意の焼きっぱなしのお菓子です。クッキーやパウンドケーキなどがベースになっていますが、それぞれ素材や組み合わせに工夫が凝らされており、平凡でないという印象です。アプリコットのプチケーキなどもタルト型の底だけにパイ生地が敷いてあったり、粉自体の美味しさを味わうビスケットなど、目新しいアレンジが多数です。これまでの筆者のレシピ本を所有している方にも満足できるレシピのラインナップだと思います。
惜しむらくは毎月の最後に1ページをさかれて書かれているエッセーです。いかにもブロガーらしい自己満足な調子はあまりありませんが、内容が薄いというか、共感できるもしくは勉強になる内容がほとんどありません。自分はこういうものが好きだ、と言うレベルにとどまっており、これが12カ月分もあるわけですから、全部がレシピだったらあと12種類も増えるのにと思うと残念でなりません。
また、この筆者の紙面づくりの特徴でもありますが、プロセスの写真が全くありません。同じような完成品の写真が2枚程度と、あとは材料やお道具のショットばかり。せめて2、3枚でも途中過程の写真があれば、色や粘度などを確認することができて作る側に大いに助けとなるはずなんですが。オシャレなレイアウトを目指したのかわかりませんが、もう少し客観的な視野が必要だと思います。そしてもし筆者にそれがないのであれば編集者がアドバイスするべきなのでは。内容が悪くないだけに惜しいです。