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カットアップ多用による表層的なアナーキーさで評価されることの多い「裸のランチ」等を読んでなかったのが良かったのか、ここで展開されるバロウズ論には素直に共感できるものがありました。確かに「モラトリアムのまま生涯を全うした自己中オヤジ」だと思うし、それと同時に「絶対的な何か(究極の自由)を追い求めたが、けしてそれを手に入れられなかった」哀しさにこそ、彼の作品の本質があるのだという気がします。あと、この著者の山形さん自体結構クセのある書き手ですが、自分の場合はシンクロ率の高さを感じるくらい(笑)、読みやすかったです。
「鳥かごの中の鳥は、そこから自由になろうとすることを諦めた時に初めて、本当の意味で自由になる」みたいな言葉があると思います(ニュー・オーダーの『ブラザーフッド』のライナーに書いてあった)。今に較べて圧倒的に自由だった学生時代に、私はバロウズを読みながら毎日「死にたい、死にたい。」とばかり思っていたことを思い出しました。確かに今は社会人で仕事や家庭に縛られてるけど、死にたいとは思わない。そういった役割に埋没するだけの存在になるのは、死んでも御免だけど。
また、倒産しちゃったファクトリー・レコードの社長のトニー・ウィルソンが、けして昼の仕事(TVパーソナリティーor突撃レポーター)を辞めようとしなかったことの意味が何となく分かりました。その彼の書いた「24アワー・パーティー・ピープル(同名映画のノベライズのふりをした、暴露話満載の生き方自慢本)」をもう一度読み直そうと思いました。「赤いピルか青いピルか」の二者選択から逃れるというのはそういうことだと思います。でも、自分はトニー・ウィルソンの真似事なんかようしませんけどね。
でも、アナキン・スカイウォーカーでもリミットちゃん(のパパ)でもニュー・オーダーでもいいけれど、「死と喪失」との戦いを自分の人生のテーマにせざるを得ない人(バロウズもそうだ)は案外そこら中にいるのでは、と思う。あなたがもしそうならば、この本が道先案内人になるかも知れない。バロウズは「赤いピル(自由至上主義的な生き方)」を選んでその闘争に敗北したのだけれど、さて自分は?、というところにこそ意味があるんだと思います。
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