意外に思ったのは、第25回ニッサン童話と絵本のグランプリ絵本大賞受賞ということ。
というのは、いままでの大賞作品とはまるで毛色が違うし、普通に出版されていても
おかしくない出来映えなので。写実性の高い描写とモノクロームを生かした表現からは
すでにベテラン作家の雰囲気が感じられました。
表紙は浮き輪をもって心配げに外を見つめる男の子。明日は家族で海水浴に
出かける予定なんですが、天気がかなり怪しい。曇り空と不安が増していく
様子がモノクロームの画面から自然に伝わってきます。
そしてやってきた台風の夜。男の子がふとんに包まりながら空想する世界の
挿入が、翌日むかえる朝を、よりドラマチックに演出しています。
さて、男の子は海へ行けたのでしょうか? 少なくとも作者の宮越さんは
絵本界という大海へしっかり足を踏み入れたようです。