「こうでなければいけない」と言われているようで苦しい等々、原書からは感じられないような感想(レビュー)を受けてしまう日本語版。
日本語版の問題点を、 くさ のページを例に…。
The important thing
about grass is that it is green.
It grows, and is tender,
with a sweet grassy smell.
But the important thing about grass
is that it is green.
まず気になるのは、出だしの
The important thing about grass is that it is green. が、
くさは みどり
と 言い切りになってしまっていること。
これが誤解を与える第一要因だと思います。
次に問題なのが、 同じ繰り返しの終わりの一文、英語では全く同じその一文が
でも くさに とって たいせつなのは かがやく みどり で あること
と訳されていること…。
about が、「〜にとって」で訳されています。これが第二要因。
「こうでなければ いけない」という誤解が生じる原因は この二つにあります。
「くさに とって」であるならば この一文を再び英語にすると
1:The important thing for grass is that it is green.
2:The important thing to grass is that it is green. となります。
どちらも、「くさに とって たいせつなのは みどり で あること」です。
英英辞典をもとに更に捉えなおすと
1は、草は緑であることが大切、つまり、草は緑じゃないといけない…くらいの意味
2は、草が大切にしているのは緑であること、つまり、草は(草自体が)緑であることを大事にしている…くらいの意味
つまり他のレビューにあるような誤解のほとんどが、1の for でとらえていることになります。
しかも第一要因で挙げたように、
くさは みどり
と言いきってしまっているので、ますます、その誤解を強めます。
さて、では、原文は、というと for でも、to でもなく、about です。
このabout 辞書で引くと「〜のまわりに」「〜の身辺に」「〜については」等々とありますが、細かく言うと、「〜に関係がある諸々の事柄については」という意味があります。「〜」をアバウトな感覚でとらえている感じ とでも申しましょうか…。
まさに近年「大体」とか「正確でない」の意でよく使われる「アバウトだねー」の感覚がピンとくるかと思います。
なので、原文の The important thing about grass is that it is green. は、
「草に関連する、まつわる諸々の事柄の中でも、大切なのは草が緑であることだ」くらいの意味。
about grass =草に関連する諸々のこと=it is green /it grows/it is tender, with a sweet grassy smell です。
では、それでは一体 誰にとって 何にとって 大切なのか…という事になりますが、
ここで大事になるのが、これはマーガレット・ワイズ・ブラウンの words 詩 だということです。
原文の著者名は、By Margaret Wise Brown ではなく Words by Margaret Wise Brown と記されています。これが 詩 だということです。
つまり 実際に書いてなくても、
I wonder
の想いが全ての文にこもります。
I wonder,the important thing about grass is that it is green.
私は 草が緑色をしていることに 一番心が動くの…とでもいう感じ。
くさに とって たいせつなのは
ではなく、
マーガレット・ワイズ・ブラウンに とって たいせつなのは
です。
本当は全てのページで 同じフレーズを繰り返して
「わたしには 世界がこんな風に みえるのよ…」
そんなふうに、マーガレット・ワイズ・ブラウンが彼女のセンス・オブ・ワンダーで捉えた様々な世界を 美しく、簡潔に うたっているのですが、日本語版では このことが 伝わりにくい。
彼女の想いそのままに、同じ言葉を、原書のように 簡潔で 美しく、リズムのある言葉、日本語で うたい直すことができるのかどうか…。
そして、翻訳の問題とは別に 私が気になるのが裏表紙のすり替えです。
一番最後の詩
you are you
これはもう、
あなたの性質、性格、諸々(about you)ではなく
あなた そのものが 美しい
あなた そのものを 愛している
とうたっているようなページなのですが、
そのページを読み終えて そっと本を閉じた時に
「あなた」=「こどもたち」の 瞳が映るように、ワイスガードは描いています。
まるで、「あなたには せかいは どのように美しく うつるのかしら…」
そう、ささやかれているかのようです。
どこかに そうと書いてあったわけではありませんが、私はそう感じました。
私を、私が愛する世界ごと 抱きしめてもらったように 愛されているように 感じたのです。
一体全体、何故 裏表紙を変えてしまったのか…。
ワイスガードは必要のない絵を適当に描いて載せるような大人ではないはずです。
一体、どれ程の想い、情熱、愛、意味を込めて変更したのでしょう。
ね? フレーベルさん?
(長文失礼しました。原書については星5つです!)