打てば響くようなお二人の対談だと思いました。一例をあげると
辻: 「恵み」とか「幸い」って(略)熊本では「のさり」とか「ぬさり」と言う。(略)
菜: 水俣の漁師は大漁のときに「のさった」って言うんですが、杉本栄子さんが「水俣病はのさり」って言いましたね。
対談は相手の言葉に触発されるように次々に話が展開していきます。そして様々な事に触れられていきます。緒方正人さん、内山節さん、畠山重篤さん、藤田田さん、セヴァン・スズキさん、金芝河(キムジハ)さん、大谷ゆみこさん、ヘレナ・ノーバーグ・ホッジさん、ヴァンダナ・シヴァさん、川口由一さん、シューマッハーさん、社会福祉法人浦河べてるの家、地元学提唱者のお二人、油藤商事など。合間には日本のスローフード扱ってる店のほんの一例紹介もあります。
そうしていると私にとって知らなかった事や視点が次々に現われました。注釈や本文の中で登場する名前を忘れないようにメモとると、
『マクドナルド化する社会』で有名なリッツァ、『ファストフードが世界を食いつくす』(草思社)の著者エリック・シュローサー、大ベストセラー『病気にならない生き方』(サンマーク出版)の著者で医師の新谷弘実さん、映画「ダーウィンの悪夢」、「味 Dream Cuisine」、「エンド・オブ・サバービア」という映画、ジョン・ユドキン『純白、この恐ろしきもの』(評論社)、ピーター・バーグ:生命地域主義を提唱。
それから、知識として私がほーっと思ったのは、
・西洋でも、60年代くらいまでは、農村部なんて日本とそんなに変わらない。肉をほとんど食べなかった。
・スターバックス・ブームがシアトルやバンクーバー辺りではじまる前に、あの連中は日本にも視察にきていたらしい。日本の喫茶店に影響を受けたと聞いたことがある。
・快楽を付きつめると節度に行きつく。これは快楽主義の基本。飲み過ぎたら次の日はたいへんだし、食べ過ぎたら喜びの倍の苦痛が返ってくる。
・スローフード運動ははじめからラテン語の「コンヴィヴィアル」、つまり「共に生きる」ということを合言葉にしている。
・アインシュタインのことば「問題を引き起こしたのと同じマインドセットのままで、その問題を解決することはできない」
・ハタハタは魚へんに神で、鰰と書く。古代日本語で、「ハタタガミ」というのが雷様。「はためく」の語源。
そして、私が心動いたのは、
・岩手県陸前高田の「地元楽(じもとがく)」、福島県相馬郡飯館(いいだて)の「までい」、イタリアの美しい村連合の「美しい」の定義
それから、北海道の成田さんはサハリンに彼らが昆布を作りつづけてくれればいいと養殖を教えに行っている。
辻: いろんな質問がきたときに、「君自身の感性を信じよう」ってよく言うんです。「君が楽しい、うれしい、平和で美しいと思う方向に行けば、たぶんそれがエコなんじゃないか」
菜: イタリアの場合だと、この景色はいいなあ、じっくり座ってコーヒーを飲みながら眺めたいなあと思ったら、そこにバールがある。座ってつくづく眺める場所があれば、これ以上壊れていかないでしょう。
私自身、次の展開どうするか考える刺激になる本でした。