著者の葉田甲太さんの医大生時代の自分の存在感を求める姿が生々しく、だけどテンポ良く語られています。開発途上国の同世代の若者がエイズと戦わざるを得ない人生を悲観せず、その事実を認めて生きていくしかないというやるせない事実と、恵まれた自分の大学生活とのギャップに対する葛藤がだれでも経験する青春時期の純粋さを垣間見せてくれます。
一人では何も出来ないと気づき、行き詰まる主人公葉田さんの目の前に現れた小川光一さん。
彼が現れなければこの実話は完成しなかったでしょう。まさに小説のようなストーリーなのですが、これが実話だと再確認したくなるような人生の出会いの面白さも読む者の心を捉えます。
そして、この二人の性格の違いがお互を補間しあうという実世間の面白さも見せてくれます。
何度呼んでも、その場面が浮かぶという作者の表現力もすごい。