ユーモラスな作品とは裏腹な残酷なまでの結婚生活の実際を描いた森村桂さんの自伝的エッセーの下巻である。
心臓発作をきっかけに一念発起して「もうひとつの学校」を創ったものの,それが一つの切っ掛けになり,「彼」によって11年半の結婚生活は幕を閉じる。“りんごの片われ”に捨てられた彼女は,この世に一人残された悲しみをひしひしと感じながら,身も心もボロボロになっていく。苦悩の日々を過ごしたあげく,ゾウのような優しい目を持つM・一郎との出会いにより,朝の空気の爽やかさを久々に思い出すのであった…
本書の表題では,「朝はくる」となっているが,まだ先夫のことが忘れられないままの,余韻をもった終わり方になっているような気がした。「朝よこい」の方が,作者の本当の心持ちを表しているように思えてならない。愛することは辛いことである。
森村さんは,いまわの際に,Mさんに優しく手を握られて逝ったのだろうか?寂しさを感じることなく,天に召されたのであろうか?
森村さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。