柚木真喜子。彼女は有名な映画監督になり、そして海外の映画祭で賞をとった。かつて彼女に
関わった6人の女性たちの視点で語られる「柚木真喜子」。彼女はいったいどんな人生を歩んで
きたのか?7編を収録。
この作品は、6人の女性から見た「柚木真喜子」を描いている。それぞれ関わり方がかなり違う。
違うからこそ、「柚木真喜子」というひとりの女性の姿が立体的に、そして鮮やかに浮かび
上がってくるはずなのだが、読んでも読んでも彼女の姿が浮かんでこなかった。6人の歩んで
きた人生の悲哀ばかりが表に出ているような気がする。浮かんでこないので、「柚木真喜子」に
感情移入できない。つかみどころのない曖昧な存在になってしまっている。それがすごくもどかし
かった。描き足りないのではないか?深さがない。感動を呼ぶはずの最終章「リフレクション」も
いまいちだと思う。面白さを感じないまま読み終わってしまった。満たされない想いばかりが残る
作品だった。