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いつもめそめそ泣いていたガリ勉の転校生。男の癖にピラピラの洋服を着てなよなよ歌っているジュリー。デートなのに何もしゃべらないつまらない男。
ある日、何かしらの“開眼”があり、掌を返したように心酔する。違う世界を見せてくれたら、それだけで惚れてしまうのです。
この建築家もまさにその通りで、最初はかなり小憎らしいオッサンなのです。家を建てようとする施主の主婦がイイだけコケにされます。読んだ当時、自分も、ちょうど家を建てようとあれこれ考えていたところだったので、その一々がカチンと来ます。
しかし悔しいが、読めば読むほどオッサンの話はもっともなことばかり。
外国のドラマに毒されて猫も杓子も欲しがった、応接セットを備えたリビングルームなど日本人の生活に合うわきゃないのである。
ソファーは、仕事から帰ってきた旦那の背広かけか、床に座ってテレビを見るときの背もたれであり、こども部屋で勉強するこどもはどこにもいず、旦那の書斎は、納戸になる。
宮脇氏自身が離婚して子育て家事をこなした“生活者”なので、実に説得力があるのだ。
家を建てる前には、是非この本・清水義範『新築物語』・赤瀬川原平『我が輩は施主である』を読んで、頭を板ずりした上でプランを練ると後悔が少ないのではと思う。少なくとも、後悔に納得が行くでしょう。
夢を描くだけでなく、考えるべきことを整理しよう。
・リビングは本当に必要か
・ダイニングは本当に必要か
・書斎は本当に必要か
・大きくてきれいなキッチンがあれば料理が好きになるのか
・思い描いている光景は、展示場のイメージに影響されたものはないのか
・費用は見積書だけで本当に済むのか
・どこまでがアフターケアの範囲なのか
…etc…
自分、そして家族、住む者一人一人の考え方を見直すことができる絶好の機会なのでしょう。そして、家作りは準備から完成後のケアまで一貫したものとして考えることであり、イメージによっ!て築きあげるものではないことを認識できました。
家作りを本格的に考える前に読むことができて、本当に良かったと思います
家作りにあたっての情報収集には、いろいろな本や雑誌、インターネットといった各種メディアがあると思いますし、それらは場面場面で有益な情報を提供してくれると思います。
ただ、この本を通して、やはりいきなり「間取りが」とか「キッチンの形が」などというディテール(もっと細かいことはいくらでもありますが)から入るのではなく、自分や家族を見直し、自分の生活スタイルがどういうものかということを見つめるという作業は、非常に重要だということがわかりました。実際、自分で自分のことというのは意外にわかっているようでわかっていないものなのですよね。
本書にかかれていることがすべ!て受け入れられるかられないか、ということは別にしても、まずは一読して広い視野で考えてみるということを実践するのは、意味のあることなのではないでしょうか。