それでも八ッ場ダムはつくってはいけない」という扇情的なタイトル。店頭に八ッ場ダム関連の本があれば、真っ先に目につくであろう。それだけの一冊である。最後まで根気よく読み進めても、なぜそこまで「つくってはいけない」と声高に叫ぶのかが全く伝わらない。真面目な田舎の学生が、教授に指導され、図書館に通い詰め、資料を集めながら卒業論文を作成している光景が思い浮かぶ一冊である。この本からは、賛成にせよ反対にせよ、八ッ場ダム問題に関わってきた数多くの人たちの生き様が全く感じとれない。客観的な資料集として読むにはデータの集積が貧弱すぎる。残念ながら今までに出た著作に加わる新しい知見も無い。著者は、八ッ場ダム建設の地元群馬県の出身とのこと。本書には「八ッ場ダムは、耶馬溪しのぶ吾妻峡といわれる美しい渓谷を有しており」との一文がある。群馬県人なのに、上毛カルタも知らないのだろうか。とにかくタイトル以外に興味を得られない、勉強不足の一言につきる一冊である。