筆者は企業の危機管理やリスク管理体制構築を専門とする弁護士。その視点から具体的な事例をひきながら、コンプライアンスに関わる諸課題を解説している。コンプライアンスは「法令遵守」と訳されることが多いが、コンプライアンスとは、企業に対する社会的要請を正確に把握して、これに応じた行動を確保すること、というのが筆者の考えである。
ともすれば、コンプライアンス担当部署としては、不祥事が起こらないような手を真面目に細かく打っているものであるが、現場に「やらされ感」が出てしまっては望ましい効果は得られない。コンプライアンスは「知識」よりも「意識」であり、ルールを覚えるよりも、何故そうなるのかの精神や本質を理解することの方が大事であると説く。
企業人は何時どのような形でコンプライアンス事案に関係するか分からない。企業に対する社会的な要請も時代と共に変化する今日、基本的な考え方を整理する為に、一般の企業人にもお薦めの一冊である。