"銃社会を糾弾する啓蒙映画として観るのなら、「ボウリング・フォー・コロンバイン」は稀に見る傑作だ。論文としては優れている。でも(くりかえすけれど)一個のドキュメンタリー作品としては凡庸だ。イズムや主張に従属しているからだ。一定の目的を設定して、これに帰結することを撮影や編集が自己目的化するのならば、それは一昔前のプロパガンダ映画であり、動員や視聴率を最大の優先順位に置く商業作品だ。"
・・・本書の冒頭、この部分を読んでギョっとしました。ドキュメンタリーはきわめて(作り手側にとって)自己本位的であって身勝手なものではあるけれど、ナレーションべたべたのプロパガンダじゃあない。
「A」「A2」を撮る過程の「気づき」も含め、著者のキャリアを通しての、煩悶・苦悶が赤裸々に語られますが、それもこれもドキュメンタリーを愛すればこそ。個人的には「A」「A2」のDVDを観るまえに本書を読んでいた方がより楽しめるような気がしました。
ドキュメンタリーと言うよりもメディアそのものの在り方を読みながら自問させられました。傑作と思います。