100%単なる表紙買い。この青年の顔を棚に飾る為だけに本書を買った。この写真の特大ポスターが欲しい。しばらく飾って眺めているだけだったが、自分のレビューページにこの美貌を並べる為に中身を読んでみた。
翻訳者は中沢新一氏で、帯の推薦文は河合隼雄氏。私はこの方たちと相性が悪いので(近親憎悪からか)身構えていたが、結構素直に読めた。東西南北、人種・民族に関わらず、賢い人は賢く、賢い人は皆似たようなことを語る、ということがよく分かる。民族性なんてのは幻想で、人間には実は賢愚の差しかないのだと。白人に対する投降時に某部族長が語った17世紀初頭の言葉なんかも記録されている。内臓を撫でられるような気分になる。以前、白人の前に下る瞬間のジェロニモの気持ちを想像しようとしたことがあったが、無理な話だった。
アメリカでのネイティブアメリカンブームには複雑な思いがある。相手が正当に歯向かう間は悪魔化し、牙を抜くのに成功した後は同情を注いで聖人化する。野生の動物と動物園の動物の扱いの違いのようなものか。後者は安楽だが、本来宿るはずの尊厳が奪われている。まあ人間の歴史というのはそういうものだろうが、救いがあるとしたら、勝負はまだ決まっていない、というあたりか。魂に塩がまかれていなければ。数百年後の未来、南北アメリカ大陸で生き残っているのは、誰だろう。