07年に白水社から発売された単行本を文庫化したもの。
著者が雑誌や新聞に書いた文章の中から、社会・報道・文化・教育等にかかわるエッセイを選んで一冊にまとめた作品だが、その大半は、言語学の専門誌『言語』の連載(03年1月号から04年12月号)と『新潟日報』の連載(98年4月から99年3月、03年6月から04年12月)からのものとなっている。いわゆる時事コラムだ。
ただ、発表誌が言語学の専門誌ということで、例えば、北朝鮮問題の報道等における「拉致」と「連行」の違い、イラク問題の報道等における「派兵」と「派遣」の違いなど、『言葉』に視点をあて、そこから彼女の考えを展開していくという構成のものが多い。
つまり、その時話題になっている事柄を直接論じるのではなく、報道のされ方、しかもその中の言葉に視点をあて、その問題を論じてみよう(おちょくってみよう?)という回りくどい?構成なのだが、これが、実に興味深いものとなっている。しかも、自分自身が思っても見なかったような考察も多く、目から鱗が何枚も落ちた。
時事ネタを扱いつつも彼女の本業である書評(文芸評論)に近い面白さを持つ一冊だった。