「そもそもアニメは個人の作品というより、クリエイターとしてのエゴとプロデューサー・スポンサーサイドのビジネスとしての側面、そして視聴者のキャパシティーが、作り手の中で(時に衝突しつつ)相混ざって作り上げられるもの」という前提に立って読む本です。
その上で「スタジオワークを通じて、作り手の表現したかったものが作品として昇華されているか」という作品論的な面では、「Vガンダム」は身も蓋もないノイズまでが当て付けのように取り込まれているけれど(バイク戦艦とか)、そういったノイズをも含め、テレビシリーズとしてまとめ上げようとする監督の気迫や、スタッフの試行錯誤が伝わってくるという点を見ると「Vガンダム」は色々と示唆に富んだ作品なのだな、ということが分かります。
もっとも、「後ろめたさなく人に勧められるか」という話になると、「それはキングゲイナーを見て下さい」という富野監督の言葉にあるように、迷走したり完全燃焼しきれなかったところもある企画だということも、また事実なのでしょう。
「後の富野作品へと繋がっていく、アニメ作りへのアプローチ」に興味のある人にとっては、示唆に富むところが少なくないのですが、まあ人を選ぶ本だと思います。