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それから (新潮文庫)
 
 

それから (新潮文庫) [文庫]

夏目 漱石
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (49件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

定職も持たず思索の毎日を送る代助と友人の妻との不倫の愛。激変する運命の中で自己を凝視し、愛の真実を貫く知識人の苦悩を描く。

内容(「BOOK」データベースより)

30歳にもなって無職の代助は実家の援助で気ままに暮らしている。親の決めた結婚話が進む中で真実の愛に気付くが、その相手は親友の妻だった…。 --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 302ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1985/9/15)
  • 言語 日本語, 日本語
  • ISBN-10: 4101010056
  • ISBN-13: 978-4101010052
  • 発売日: 1985/9/15
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (49件のカスタマーレビュー)
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17 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 それからの代助と、それからの日本は・・・, 2007/9/3
レビュー対象商品: それから (新潮文庫) (文庫)
本書は「三四郎」に続く三部作の二作目。

主人公、代助は親の勧める縁談話を勘当を覚悟で断り、友人の妻、三千代と一緒になろうとする。

その結果、代助は親からの経済的援助を打ち切られ、生活力を持たない彼が途方に暮れてしまう所で小説は終わってしまう。

代助は当時としてはかなり進んだ日本人で、洋書に親しみ近代的(西洋的)な思想を持って生きる「高等遊民」であるが、

そんな彼が平岡と議論する場面で、日露戦争後の日本の姿を「むりにも一等国の仲間入りをしようとするが、日本ほど借金をこしらえて貧乏震いしている国はない」と批判している。しかしそれはまさに形ばかり西洋化しても殆んど生活力を持たない代助の姿そのものではないだろうか?

それから代助と三千代はどうなったか?三作目の「門」へ続くが、登場人物は別の設定となっており、一読者として興味は尽きない。

それから日本はどうなったか?その後の歴史を知っている我々としては色々と感慨深いものがある。
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24 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 生きる意味を模索する主人公, 2002/3/29
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レビュー対象商品: それから (新潮文庫) (文庫)
ほのぼのとした「三四郎」から続く三部作の二作目、ということで軽い気持ちで読み始めましたが、その重苦しいテーマに衝撃を受けました。話は、成人してなお親兄弟の世話になり、定職を持たずにフラフラしている知識人代助(今でいうとモラトリアム人間)と、友人の妻三千代の姦通を主題としていて、徐々に全ての歯車が狂っていく様を描いていきます。

漱石は、「三四郎」の美禰子を「無意識の偽善」と呼び、自分が偽善者であることに気付かない人のことを批判しています。「それから」の代助は、この無意識の偽善者ぶりを余すところなく発揮しています。代助は、生活のために、ぎりぎりのところで理想を諦め、現実と妥協して生きている友人平岡、父、兄を冷ややかに観察し、断罪します。しかし、代助自身は理想は高いものの、臆病者で行動力がなく、その事実を知らぬは本人ばかりです。自分のその行動様式の結果として、周りの人間全てを不幸にし、なお己に問題がある、とは認めない代助の「無意識の偽善」の罪はそれだけ深い、と言えるでしょう。

理想と現実のバランスを、どこかで取らなければ生きていけない。これは、そんな人間の悲哀を、理想の側にいる代助、現実の側にいるその他の登場人物のぶつかり合いを通して表現している、素晴らしい小説です。

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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 漱石作品の中では一番読みやすい, 2011/1/3
レビュー対象商品: それから (新潮文庫) (文庫)
「三四郎」「それから」「門」三部作のひとつ。

非常に読みやすく面白い。まぁ不倫小説ですけど、話は高等遊民である長井がかつて親友に譲った女性をやはり好きだからしょうがない、とすべての地位を投げ打って結ばれる直前、長井の破滅を予感させて終わるという物語。

明治時代の新興ブルジョア一族の次男で30過ぎても働かず、思索にふけっている長井の立場は、虞美人草の甲野さんに似ているけれど甲野さんのような暗さは表立っては現れない。しかし、旧友平岡とその妻三千代が仕事に失敗し東京に戻ってくるところから、急激に変化をもたらす。

長井が働かず高等遊民であることは、漱石個人の考え、そして働かずに思索していられる立場への憧れが含まれているのだが、俗世間に染まっていく旧友平岡の精神的堕落とは対比的に高尚な精神生活を送る長井が、現実から阻害され破滅させられてゆくであろう予感が随所にさりげなくちりばめられており、、これもまた漱石自身とかぶってしまう。

嫂との会話はテンポよくユーモアもあり、漱石の台詞の上手さが全編で際立つ。

「麺麭のための仕事は劣等で堕落である」という長井の考え方は、美千代から借銭を依頼され、彼自身何かしようと思うと1銭も作れないという彼の脆弱な立場を際立たせる結果となる。

精神の成すがままに生きること=自然、自然にそむき親の援助をこれからも受けて、安楽に過ごすのか、自然に従い、すべての現実(勤労、麺麭のために働く)を受け入れるのか。

圧巻は、思い人である三千代への告白シーン。

降りしきる雨、百合の濃厚な芳香、全身全霊を賭けた告白。その辺の恋愛小説が束になっても適わない痛切で真摯な科白は何度読んでも心を揺さぶる、名台詞です。

↓ここからは蛇足です。

ラストの解釈は色々あるだろうと思う。長井は頭がおかしくなったのか、という解説もあるが、その後の「門」における長井と三千代のその後と思われる話を読むと、個人的にはやはり恋愛の成就は一瞬のもの、現実には恋愛よりも、高尚な精神生活を送るための土台となる財力を選んだ方が良かったのではないかと思ってしまう。私個人的に恋愛の力というものを信用していないので。

そんな自分でも、長井の三千代への告白は生涯忘れられないのだが

「門」はもっと現実的。「門」のラストシーンが「それから」の長井の末路だと思うと、美千代さんへの命がけの告白以降、長井の人生はもう終わったも同然に思えてくる。
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