◆「雨の檻」
世代宇宙船の無菌室で、
女性型ロボット「フィー」と暮らすシノ。
精神衛生上の配慮から、様々な景色を映し出していた窓も、
今では、雨の景色しか映さなくなっていた…。
結末では、SFらしいサプライズが。
「家族」というものの在り方を考えさせられる物語です。
◆「カーマイン・レッド」
いじめられっ子のサチオと、
絵かきロボット「ピイ」の交流を描いた物語。
いじめに苦しむサチオは、ロボットであるために同じく疎外されている
ピイに自分を投影することを禁じえません。
そして訪れる破局―。
感情や嗜好を持たないはずのピイが好きだという
「カーマイン・レッド」という色と絵かきロボットであるという設定。
そうした「仕掛け」が、感動的な結末を演出します。
◆「そばかすのフィギュア」
ファンタジーアニメのキャラ設定に基づいた感情を持ち、
最新テクノロジーで自在に動くことのできるフィギュア
「アーダ」と大学生・靖子の優しく切ない交流の物語。
アーダと靖子は、ともに実らない片想いに苦しんでいます。
そんな作中作と作中現実の設定が二重写しにされていくことで、
二人の想いが次第に重ね合わせられ、共振していきます。
ラストで提示される〈窓辺で待つ女〉というイメージは切なく、
人によっては自己憐憫に取る人もいるかもしれませんが、
個人的には、清々しさが勝っているように感じます。