一般の読者にどれだけ有用かと考えると、疑問に思える部分も多いのです。接客業から友達の会話まで、使える表現はたくさんあるし、カバーしている範囲は広いとはいえアメリカ英語ばかりでイギリス英語なら、という言い換え表現の提案はありません。
解説もありますが、ほとんど写真のキャプション程度で親切とはいえません。たとえば例文では巧妙にHeやSheといった三人称になっていて、三人称であれば確かに「品がない」表現かもしれないですが、一人称であれば問題のない普通の表現だったりするのに、それについて解説がなかったりするのですから、本当に親切な本とは呼べません。
確かに「英会話」の常識に挑戦し、ちょっと工夫すれば印象がかなり良くなりますよ、というコンセプトは秀逸だと思うのですが、もし、この本にある表現をすべてマスターして完璧に使ったら、おそらくイギリス人にはBBCのビクトリア朝/エドワード朝時代のドラマが好きなアメリカ人から学んだオバさん系の英語に聴こえる可能性もあると思うのです。(ホテリエであれば問題ありませんが、映画版『インドへの道』ならばペギー・アシュクロフトが演じた役の台詞みたいな表現も多い!)
婉曲・丁寧表現は、ビジネスや社交の場では有効ですが、表現ばかり覚えても本物の英語を理解しないと、そういった表現に込められた偏見や侮蔑の念などをキャッチできない可能性があることも述べたいと思います。
繰り返しになりますが、ホスピタリティ産業に従事している方にはお勧めします。3つ星以上のホテルでルームスの管理職やアシスタント・マネージャー以上をしているのであれば使っているべき表現が含まれているし、そういった役職や総支配人などを目指す若い人たちにならば全面的に推薦します!