大学教授となった作家研究をしている友人に、かつて「作品は作品だけで楽しむものではないのか」と言ったことがある。そのとき彼は「好きな人のことをもっと知りたいと思うのは当然だろう。知れば知るほど楽しくなる」と言ったものだ。俳句もしかり。解説なんかなくても、十七文字で広がる世界を、自分なりに楽しむだけでもいいのだが、その背景を知ると、今まで見えてなかった世界が、さらに彩りをもって見えてくる。
本書は、一種の自句自解なのだが、俳句文化の案内書でもあり、作者の幅広い活動(サンチャゴ巡礼まで!)を窺い知ることもできるエッセイとしても楽しめる。一句を詠みあげるまでの工夫というか、テクニカルなポイントも紹介されているので、俳句初心者から中級者に特にオススメである。