1.この本の最重要ポイント、又は、唯一傾聴に値する見解
親の本能や子どもの欲求のままにさせるのではなく、我慢させることを教えなさい、ということ。このこと自体は、他の学者さんも言っているし(『バカはなおせる―脳を鍛える習慣、悪くする習慣』(久保田競)アスキー)、私自身としては、これを否定する証拠を持っていないので、とりあえず傾聴してもいいと思う。ただ、以下の理由により、「唯一傾聴に値する見解」とする(「かろうじて星1つは免れている」レヴェル)。
2.この本の短所
(1)そもそも、『スポック博士の育児書』(最新版は暮しの手帖社)と、著者が批判している子育て法、社会状況との関係があいまいなところ。
(2)p30の比較検証において、遠隔成績の詳細がわからないし、解釈が強引である((ア)全共闘(犯罪を犯した人がいる)がよくて、引きこもり(それ自体は犯罪ではない)が悪い理由は?(イ)一般論としては、高齢者の方が社会貢献度は大きいと思われ、若者と比較する方がおかしい)。
(3)データの出所が明示されていないところが多く、検証不可能なところが多いところ(科学的か判断できない)。
(4)他の原因が疑われるところが多いところ(割れ窓理論を妥当だとするが、警察官の増員など(『ヤバイ経済学』(レヴィット=ダブナー 東洋経済新報社)参照)は関係ないのだろうか)。
(5)概念が不正確なところがある(たとえば、ニートと就職の希望の有無は直接の関係はない(現在増えているとされる非求職型(『ニートって言うな!』(本田由紀ほか 光文社新書)参照)の場合は、就職を希望していないとはいえない)。
(6)結局、薄弱なデータで、「今はダメ」「昔はよい」としか言っておらず、ほとんど中身がない本だ。
結論
傾聴に値する見解もあるので星1つは免れているが、全体としては、「科学的」かどうかが疑わしく、中身がないので、星2つ。