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その夏の今は・夢の中での日常 (講談社文芸文庫)
 
 

その夏の今は・夢の中での日常 (講談社文芸文庫) [文庫]

島尾 敏雄 , 吉本 隆明
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

極限状態の日々を深い洞察と鋭い感性で描く即時待機の日常を生きる特攻体験は、人間の心の奥深くに根源的な不安を棲みつかせた。死をかかえ込んだ眼に〈夢〉の時間が暗く美しい光を放つ。島尾文学傑作六編

内容(「BOOK」データベースより)

人間の存在を揺るがす根源的な不安を、心の奥深くに刻んだ即時待機の特攻体験。終焉の日常は、暗く美しい光を放ち、〈夢〉の世界へと飛翔して行った。死をかかえ込み極限を生きた特攻隊員の異常な生の日々を、穏やかな島の人々の生活と対比させ、鋭い感性で描く「出孤島記」、ほかに「出発は遂に訪れず」「その夏の今は」など、生と死のはざまで、現実と非現実、日常性とは何かを問う長尾文学傑作7編。

登録情報

  • 文庫: 312ページ
  • 出版社: 講談社 (1988/8/4)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4061960229
  • ISBN-13: 978-4061960220
  • 発売日: 1988/8/4
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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By Dolly the Cat トップ50レビュアー
形式:文庫
昭和の大作家島尾敏雄は、芥川賞をのぞく日本文学界の各賞をほぼ総なめにしたにもかかわらず、没後二十数年を経て、「死の棘」、「死の棘日記」以外の作品は、一般に読み親しまれているとは言いがたく、とても残念に感じる。戦争を題材にした物語がエンターテインメント化されてしまった今では、「戦争文学」は若い読者を構えさせてしまうのかもしれない。

しかし、誤解をおそれずに言えば、「出孤島記」「出発は遂に訪れず」「その夏の今は」の、あの八月半ばの日々を綴った一連の作品は、戦争文学であるのに、まるで安部公房をロマンティックにしたように読めるし、「夢の中での日常」「島へ」など幻想的な作品群は、日本版カフカとも言えるだろう。

「あらゆる不幸は実らずに枯れてしまい、中間地帯にとり残されたまま老けてしまう」(「鬼剥げ」)、「不毛への意志のようなもの」(「島へ」)という一節に表われているように、島尾氏の視線は常識的な日常、人がそうであると了解している現実とは別次元で、古びることのない神秘性と暗い端麗さをたたえ、今もパワフルに胸に迫ってくる。

巻末の吉本隆明氏の簡明で味わい深い解説がよいガイドになったが、作品の初出一覧のない点は惜しまれる。復員後まもなくなのか、「死の棘」事件後に書かれたものなのかなどがすぐにわかれば、作品への興味や理解もぐんと深まると思うのだが。
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