軽い気持ちで計画したことが、どんどん悪いほうへと
進んでしまい、追い詰められていく心境に
こちらもシンクロしてしまった。
時間軸を巧みに操った演出のおかげもあるけれど、
キャストの演技が見事だったからだろう。
フィリップ・シーモアからにじみ出る狂気。
甘ったれ全開のイーサン・ホーク。
兄嫁マリサ・トメイのなんともいえない色っぽさ。
父親役のアルバート・フィニーの熱演にも引き込まれたが、
特に事件の真相を知った以降の血走った目はすごかった。
ラストで父親が長男に下した制裁は、
これ以上苦しむ姿を見たくない、という親心か
心底からの憎しみか、それは見る側に委ねられていた。
強盗現場で老女が放った銃弾。
枕をサイレンサー代わりにした銃声。
兄が弟につきつけた銃口。
人がバンバン死ぬ映画で麻痺しがちだけれど、
弾丸には躊躇や衝動や欲望などの感情も一緒に込められている。
この作品は一発の銃弾が持つ重みを改めて感じさせてくれた。
途中、父親が長男に今までの関わり合い方を謝罪する。
親の望むような人間にはなれなかったという瑕を
常に抱いている者には、とても重いシーンだった。
「今更そんなこと言うなんて卑怯だ、遅すぎる」という叫びが
突き刺さってきた。