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その名にちなんで (新潮文庫)
 
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その名にちなんで (新潮文庫) [文庫]

ジュンパ ラヒリ , Jhumpa Lahiri , 小川 高義
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商品の説明

From Publishers Weekly

   今年もっとも期待される本のひとつ、ジュンパ・ラヒリによる初の長編小説で、1999年にピューリツァー賞を受賞した『Interpreter of Maladies』(邦題『停電の夜に』)に続く第2作だが、単に個々の話を寄せ集めたものではない。25年という歳月を断続的につづった物語は、新婚のアショクとアシマのガーングリー夫妻が、1968年にマサチューセッツ州ケンブリッジに移り住むところから始まる。そしてまもなくアシマは息子を生んだ。伝統に則って母方の祖母が命名し、その名を記した文書がインドから発送されるが、その文書が届かなかったために、ゴーゴリという愛称がそのまま命名される。アショクは工学の教授になるが、いっぽう、意に反してインドを離れたアシマは、新しい環境になじめずにいた。

   時が経ちティーンエージャーになったゴーゴリは、インド人であることや、風変わりな名前を恥じていた。イェール大学に入り、コロンビア大学の大学院に進んだ彼は、自分の名を捨て、正式にニキルと改名する。ゴーゴリがマンハッタンの裕福な白人家庭に移り住み、ラルフ・ローレンの広告さながらの生活をはじめるくだりは、本書の中でもとくに印象的な場面である。ここではラヒリの卓越した観察眼がおおいに駆使されており、また、多くの人があこがれる地で味わう、よそ者という疎外感を描き出すことにも優れた才能を発揮している。

   ゴーゴリの父親の死の後にこのエピソードを割り込ませることで、ラヒリは物語を突如1年後に移す。結婚、離婚、そして息子としての複雑な心境に悩むゴーゴリ。こうした概略が、じつは本作の難点を助長している。調和に欠いた展開によって、感情的な側面が章ごとにバラバラに見えてしまうからだ。ラヒリは美しく生き生きとした絵画的な描写を多用しているが、一家のささやかな一代史にとどまらないこの物語には、そぐわないように思われる。前作で得たあまりに高い評のために、やや物足りなさも感じられるが、もしこれがほかの著者であれば、文句なしの長編デビュー作と絶賛されるところだろう。
Copyright 2003 Reed Business Information, Inc. --このテキストは、 ハードカバー 版に関連付けられています。

内容説明

Jhumpa Lahiri’s Interpreter of Maladies established this young writer as one the most brilliant of her generation. In The Namesake, Lahiri enriches the themes that made her collection an international bestseller: the immigrant experience, the clash of cultures, the conflicts of assimilation, and, most poignantly, the tangled ties between generations.
The Namesake takes the Ganguli family from their tradition-bound life in Calcutta through their fraught transformation into Americans. On the heels of their arranged marriage, Ashoke and Ashima Ganguli settle together in Cambridge, Massachusetts. An engineer by training, Ashoke adapts far less warily than his wife, who resists all things American and pines for her family. When their son is born, the task of naming him betrays the vexed results of bringing old ways to the new world. Named for a Russian writer by his Indian parents, Gogol Ganguli knows only that he suffers the burden of his heritage as well as his odd, antic name.
Lahiri brings great empathy to Gogol as he stumbles along a first-generation path strewn with conflicting loyalties, comic detours, and wrenching love affairs. With penetrating insight, she reveals not only the defining power of the names and expectations bestowed upon us by our parents, but also the means by which we slowly, sometimes painfully, come to define ourselves. --このテキストは、 CD 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 468ページ
  • 出版社: 新潮社 (2007/10)
  • ISBN-10: 4102142126
  • ISBN-13: 978-4102142127
  • 発売日: 2007/10
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (33件のカスタマーレビュー)
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23 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 人が生きていくというただそのことが胸に沁みる, 2004/8/5
なんの変哲もない移民の家族の物語なのに、「人生」や「家族」にまつわるもろもろがしみじみ胸にしみわたる。アメリカに移住したベンガル人の若夫婦が、二人の子供を育てていく。語りの中心となるのはゴーゴリと名づけられた息子だが、ひょいひょいと登場人物のあいだで視点を動かしながら、人生の小さなエピソードが丁寧に積み上げられていく。途中、ニキルと改名したゴーゴリが、二重の名前、二重のアイデンティティーで生きながら、自分をゴーゴリと名づけた父の心情を思いやるラストが切ない。単なる移民の物語ではなく、「人生の成り立ち」を普遍的に描く、傑作である。
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27 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 三つの層, 2004/8/28
By 
kh - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)   
レビュー対象商品: The Namesake (ペーパーバック)
 アメリカで暮らすインド人の夫婦が、子供の名前をつけようとして、インドにいる祖母に命名してくれるように手紙で頼む。ところがその返事の手紙が届かず、とりあえずということで、父親は息子にゴーゴリという名前をつける。父親が崇拝していたロシアの作家の名前だが、その名前には父親の個人的な事件による、特別な思い入れがあった。

 作者は、このゴーゴリという息子の名前を思いついたとき、この小説は勝負あった、と思ったにちがいない。アメリカ社会にすむインド人で、ゴーゴリというロシア名前をもつ若者。息子はその名前を拒否して、改名する。しかしその名前で過ごした思い出までが消えるわけではない。作者は、ゴーゴリの父親、母親、ゴーゴリの幼児期から、青春、結婚とたんねんに描写していく。どこにでもあるような人生をつづりながら、人生の経験は、その人だけののものであるということを静かに語りかける。

 ファンタジーや、派手な道具立てなどに飽きた人に、ぜひおすすめしたい。最後の場面にたどりついたとき、なんだか長い旅をおえたような気になる。そしてこれこそが、長編小説を読む醍醐味だったとわかる。

 以前にニューヨーカーに前半の三分の一くらいが紹介されていたが、さすがというべきか、その刈り込みかたがじつにうまかったことを、あらためて思ったりする。

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22 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 大陸を渡った家族を描く小説の美しい充実, 2004/11/9
驚くべき完成度を見せていた「停電の夜に」の作者の初長篇ということで
かなりの期待を抱いて読んだが、素晴らしいというより他に言葉が見つからない。

主人公の両親はインドからアメリカに移住して一家を構えた人達で出身地の文化を
捨て去ることなく暮らしているが、もともとそのきっかけとなったのは父親が
故郷で巻き込まれた列車事故だった。偶然読んでいたロシアの小説に助けられたと
感じた父親はその後アメリカに住むことを決め、結婚後生まれた息子にはその小説の
作家の名前をつける。ゴーゴリという、アメリカ風でもましてやベンガル風でも
ない一風変わったファーストネームを持った主人公を中心に、軽やかにそして
丁寧に物語は語られてゆく。

中心となるのはベンガル系の人々だが家族を描いた物語には普遍性があり、
異なった文化圏の読者をも容易に引き付ける魅力がある。誰の人生でもあるに
違いない、あとになって思い返して重大な意味に思い当たる出来事など
ささやかな偶然が積み重なって人生はその形を定めていくことを実感する。

簡潔だが細やかな描写で深い余韻を残す文章は味わい深く、何度でも読み返し
たくなる魅力がある。代名詞の多用を避けて自然な日本語に仕上げてくれた
翻訳者の努力も特筆すべきと思う。

情景描写の巧みさも見逃せない。特に主人公が列車の中で父親の過去に思いを
馳せる場面がいい。冬の日射しを顔に受けて座席に座っている主人公を包む
列車の揺れる音、汽笛、窓の外に広がる風景、車内できこえる会話の断片、
そして脳裏に立ち上がる少年の日の記憶。ごく自然に読者を引き込んで一緒に
海辺のドライブを再体験するような気分にさせてくれる。

「停電の夜に」に所収の「三度目で最後の大陸」をさらに壮大にしたような
充実した読後感を味わえる一冊だと思う。

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