まず始めに言っとくと、楽しむための絵本ではないです。
開発途上国でいまなお存在している不法な児童労働を知ってもらい、
問題解決への呼びかけをしている絵本で、基本はNGOの活動を背景と
したものです。そうした取り組みをどう受止めるかは、各々考えるところ
があるでしょうから、ここはあえてメッセージが絵本としていかに
表現されているかという観点で述べたいと思います。
「そのこ」というのは、遠くの国で労働する子どもを指しています。
会ったこともなく名前も知らず、ただちょと気になる存在の子。
「そのこ」という言葉の距離感は、重い荷物を運ぶ子どもから来ています。
印象的なのは、そのこは始めから終わりまで後ろ姿で登場していること。
こちらから、どんどん遠ざかっていくように見えます。
どんな表情をしているのかは直接描写されていません。
ただ、語り手である日本にいる「ぼく」という子どもの暮らしや、
その国でもちゃんと学校へ行っている子どもの絵との対比が、
逆説的に距離感をうめるよう働いています。
「そのこ」は作物を手に入れるために手をのばしているのではないと
伝えるページは絵本的な表現として圧巻でした。
読後はチョコレートの甘さを素直に堪能できなくなるかもしれません。