本の題名は、いかにも出版社の人がつけたような、かっこよすぎる名前ですが(笑)、
中身は、教科書や下手な大河ドラマと比較にならない程面白いし、勉強になります。
冷静に、しかし実録推理小説のような渋かっこいい面白さで、
人物、戦国社会、仕事、戦争において、局面をえぐり、内実を露にし・・・
そして数学的解説により、その事象の失敗、成功の経緯が明快に進んでいきます。
ある戦の流れなど、人物の心理も推測されていて、目の前に情景がありありと浮かぶようだし、
古文のままだと雅な書状が、現代語に直されて生々しくぞっとしたり、
書名の信長はじめ、教科書に出てきた遠い偉人が「この人はここがこう凄かった」と知り、
じわっと現実的な人間に感じられたり。
具体的、立体的に解説されているので、歴史のなかの因果関係、そして歴史のなかのことと、現代のなかのことの
因果関係が自動的にわかってきます。
この本の前に出された、同じ著者の『冥途の旅はなぜ四十九日なのか』と合わせて読むのをおすすめします。
どちらも歴史を数学用語で解説されていますが、それが嫌みじゃない。どころか簡潔で頭に入りやすいです。
順番はどちらでもいいので二冊続けて読むと、何か壮大な定理のようなものに制御された人間、自然、社会構造が
見えてくるようで、歴史というものも、人間も、一つの研究対象として、面白く思えてきます。
一方、日本人は本質的に先ず礼節ありきの民族だとわかります
(それは、やはり普通の人々が教養をもっているからでしょうが)。
しかもそれが美学だけの馬鹿ではない冷静沈着、どこぞの民族のような、ひたすらずる賢いのと頭がいいのは違うんだと、
日本人であることを誇りに思えます。
(これは合戦の様相や、当時の建築や武器等における科学技術の説明で、よくわかります)
反面、墜ちていくいまの日本に気づかされ、悲しくもなりますが・・。
歴史は流れている、けれど進化しているとは限らないという事実をも再認識させられます。