言わずと知れたアガサ・クリスティの代表作『そして誰もいなくなった』の最初の映画化です。フランス映画の巨匠ルネ・クレール監督が、第二次世界大戦の戦火を逃れてハリウッドで撮った、低予算の娯楽作品。欧米ではミステリ映画の古典としての評価が定まっている。軽妙洒脱な演出におもわず引き込まれる。
映画版は原作小説と異なるハッピーエンディングだから駄目だという意見もあるようですが、それはクリスティ自身の手がけた戯曲版の結末を採用しているから。勝手に脚本を変更しているわけではない。
そもそも、孤島の連続殺人事件の趣向の下敷きにしたマザーグースの歌詞に2つのヴァージョンが存在する。なので、結末がふたとおりあってもおかしくないでしょう。映画化には戯曲版のほうが適している、と私も考えています。
廉価版DVDにしては、画質と音声が良好。メニュー画面があって、チャプターも場面で選択できるし、日本語字幕もON・OFFの切換えが可能です。20世紀FOXの有名なロゴマークは、正規版でないためにカットされていますが。
字幕スーパーの担当者はクレジットされていませんが、アフォリズムのような洒落たセリフも簡潔かつ自然に訳している。まったく問題ないですね。これはお買い得。