富豪の奔放な一人娘が、不審な事故で死亡してから三ヶ月。
事故の直前まで彼女と一緒に居た四人の男女が、彼女の母
親によって、地下にある核シェルターに閉じ込められてしまう。
そこのトイレの壁には、死んだ娘と事故車の写真が貼られていて、
その上に「お前たちが殺した」と赤ペンキで殴り書きがされていた。
四人は、脱出を試みつつ、事件の真相について議論を重ねていくが……。
現在の話に、時折、三ヶ月前の過去の回想が挿入されるというカットバックの構成が
採られ、四人が事件について議論を重ねることによって、少しずつ三ヶ月前の記憶が
甦り、真相を究明するためのデータが揃っていくという展開となっています。
それぞれに自分は無実だと主張して譲らない四人は、ともすると感情的になり、なかなか
冷静に議論しないのですが、それでも彼らの証言を客観的に検討し、総合していくと、彼ら
以外に犯人はあり得ないのにも関わらず、彼らの中の誰も犯人の要件を満たさないという
奇妙な矛盾が浮かび上がってくることになります。
もちろん、そこには欺瞞が隠されているのですが、それに最後まで気づけなかった主人公
を見舞う痛恨の真相は、極めて残酷。何といっても彼は、その「出発点」から間違えていた
のですから。
四人の人間関係の力学によって作り出される「偽の解決」も真相と
拮抗した優れたもので、ミスリードとして、十二分に機能しています。