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最も参考になったカスタマーレビュー
7 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
SMと料理のアナロジー,
By Homer (スプリングフィールド) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: そしてやさしく踏みつぶす―料理人からSMの女王様になったアンナの愛のかたち (単行本)
SMは料理と似ている。このことは料理をしたことのないSM経験者、またはSM未経験の料理人にはわからないかもしれない。全体のバランス、細部のチェック、時間制限、念入りな準備、バラエティと繊細さ、柔軟さ、即興、そして他人に何かを与え、満足させることで得られる喜びとパワー。そして、「食」と「性」のもつ共通性。SMと性を切り離す考え方もあるけれど、非論理的な嗜好性のバラエティという意味において、エクスタシーという感覚は味覚とも確かにクロスオーバーする。ガチで変態的視点からでなく、まっとうなシェフの目でSMというレシピがなめらかに公開された。僕はこれを読んで、日本のお寿司屋さんを連想してしまった(笑)昨今のSMクラブというのは、回転寿司みたいなものじゃないかな。味の嗜好は理屈ではない。どうして寿司が好きなのか、うまく説明できない。味の好みについて、あれこれ分析して考察するのはバカげている。好きなんだから、それでいいでしょ!という世界。お寿司ならたいていの人は好きだと思う。ところが、ひかりものはダメだとか、ワサビ抜きでないとイヤだとか、好みは細かくなる。 そこで「そうですか。お嫌いですか」と、ワサビ苦手な相手に無理にすすめることはあまりしない。「美味しいのにアホなヤツ」と心の中では思いつつ、相手の好き嫌いを認める柔軟性が寿司談義にはある。 SMではナカナカそうはいかないことが多い。 好きなネタだけ食べていればいい回転寿司と違って、まわってくるお皿にのってないかもしれないネタを一緒に探すようなSMセッションの場合、女王様と奴隷の共有できる味を見つけることが難しいからなのだろう。時間がない時は、とりあえずまわってきた皿からつまんで食べることになる。そして自分の期待した味でなかったことに失望することもよくある。 回転寿しに飽き足らなくなる時がいずれやってくる。職人気質の寿司屋に入り、カウンターに座って対面形式で職人に自分の好みのネタを注文する。ある程度経験を積み、舌が肥えてくると自分が本当に求める味に出会うためには、このスタイルしかない。時にはカスタマイズしてもらったりして。 最近の軽いノリのSMブームにのっかっている人は、回転寿しのようなSMクラブでも十分満足できだろう。しかし真に個人的な味覚を満足させるような美味しいSM願望を満たす場所としては、SMクラブは物足りない。 今僕はM側の視点で書いてきたけれど、このような葛藤がクラブに勤める女王様にもあることがわかって興味深かった。女王様が行うセッションにもいろいろな味がある。彼女達が鞭を打つ相手の個性によって、その味が変わるのである。この作品は、M男が読んでもS女が読んでも、それなりに鋭い味覚が研ぎすまされる味わいがある。SMを知らない読者には、未知の味覚が開発されることになるだろう。
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