これは、行き止まりの袋小路に入ってしまった人たちの、心の悲痛な叫びを集めた短編集である。
その中でも『勝利は我らの手に』という話が、僕の胸に突き刺さった。
夢を追いかける彼。
そんな彼を、半ば呆れながらも優しく包む彼女。
もしかしたら叶うかもしれない、そう思えた瞬間、崩れ去る夢。
その現実を、彼は受け止められなかった。
彼女は分ったんだと思う、彼はその現実を受け止めきれない、と。
だから必死に彼を守ろうとする。
「企画が悪かったんだよ…ここらへんにラーメン屋があってさ」なんて、彼を慰めて、彼の気を逸らそうと話題を変えて。
でも、その優しさでさえ、彼には届かない。
こんなにも傷ついている彼に、何もしてあげられない。
都会の真ん中で、たった2人で寄り添って、築き上げた絆。
夢と一緒に、その絆も簡単に崩れてしまう。
絶望。
なんて、切ない絶望なんだ。
たった30ページ足らずの作品だけど、僕の心に深く刻まれた一編です。