壮絶な負の感情がぶつかり合う小説です。長編と言うにはページ数も少なく、2日程度で読みきってしまいましたが(時間がある方なら一日で充分でしょう)、読後感のもやもやはずいぶんながいことつづいています。
冒頭、語り手の少女メリキャットが村人から蔑まれながら、家(お城)に帰り着くシーンから始まりますが、ここからは村人の集団の悪意がひしひし伝わってきます。集団対個人。ここで感じる恐怖はいじめを見るときの嫌悪感にちかいです。一人の少女が大人にも子供にもよってたかってからかわれるのを見ていると、メリキャットがなんどもつぶやく「みんな死んじゃえばいいのに」のせりふも当たり前に思えてきます。城に閉じこもって外を怖がる姉と、体の不自由な伯父を、無邪気な妄想の魔法で守ろうとする少女。メリキャットの印象は初めそんな感じでした。 しかし読み進んでいくうち、メリキャットの中の敵意が底知れないものだということに気がつきました。この敵意は無垢で無自覚でした。村人達のブラックウッド家に対する悪意は自覚的でしかも彼らはたった一人でブラックウッドと対峙することはできません。いつも徒党を組まないといけない。しかしメリキャットはいつもたっと一人で敵意をむき出しにしています。メリキャットに感じる恐怖は怪物を見る感覚に近い。
つまり「ずっとお城で暮らしてる」をよむホラー好きの皆さんは二種類の恐怖の相克を楽しめるわけです。
村人の燃え上がるような悪意とメリキャットの冷たくてゆるぎない敵意の対決。最後はどちらが残るのでしょう。