ずっと、世界が遠かった。人の中では生きにくかった。何となく違和感を感じてきた。大人になって少しはやり過ごせるようになってきたけど、まだ、色んな所で躓いてしまう。
そんなモヤモヤを抱えながら生きてきた私にとっては、まさに目から鱗の一冊でした。
幼少時から成人して自閉症の診断を受けるまでの彼女の人生を、驚くほどの鮮明な記憶と精緻な描写で、生き生きと追体験させてくれます。子供の頃の出来事や感じ方(特に独特の身体感覚)を、こうもありありと再現しうるのは、その痛みを他人と共有することも癒されることもなく、自らの内に留め続けるしかなかった障害ゆえの副産物=才能なのかも知れません。そんな彼女の言葉の中には、他人事とは思えない部分もあって、読んでいるとひたすら痛い。しかし、そうした面も含めて、彼女を苦しめていた障害や欠落が、むしろ人間としての優しさや長所となりうることも伝わってきます。
徒に「普通」を真似るのではなく、自分故に出来ることに目を向ける。彼女がたどり着いたそんな結論は、決して無難な気休めではなく、自閉症或いは性格障害への見方を変えるものかもしれません。