著者は、水産会社に勤める父親の仕事の都合により、幼少期をセネガルで過ごし、青春時代をアメリカで過ごした。大学から日本に移り、筑波大学卒業後三和銀行に勤務するが、アフリカでは「中国人」、アメリカでは「アフリカ人」、日本では「アメリカ人」と呼ばれ、どこに行っても異端視されるという複雑な思いを経験したようだ。そのことが、「食文化を通じて世界中の国々がお互いを理解し、尊重し、そして一つになる」という夢につながっていった。
本書には、著者の幼少期から創業、ナスダック・ジャパン上場までの軌跡が、スピード感ある文章で書かれている。ボストンで出合った1杯のコーヒー、タリーズ本社との交渉、三和銀行との決別、家族の死、その過程で出会った人々…。ライバル、ハワード・シュルツとのちょっとしたやりとりなども含まれており、楽しく読むことができる。
本書には、起業のノウハウなどはほとんど書かれていない。ただ、起業して成功した人々に共通する大切な点―― 人との出会い、そして情熱を持ち続けることの大切さをあらためて教えてくれる。あまりに多くの不幸を乗り越え、成功を勝ち取った著者の半生に、胸が熱くなる1冊である。(土井英司)
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この本を手にする前「渋谷ではたらく社長の告白」(藤田晋著)、「史上最短で東証二部に上場する方法」(野尻佳孝著)を読んでいた。いずれも興味深く楽しく読めたのだが、当著はその二冊を上回る面白さだ。この面白さはどこにあるのか?「コーヒー」という極めて庶民的な飲み物を提供する会社の創業史だからだと考察する。コーヒーにかける並々ならぬ愛情、そして苦労。経営が軌道に乗るまでの苦労の中には、読者が賢く生き抜くためのヒントが散りばめられている。
著者は楽天の三木谷氏やライブドアの堀江氏のような華やかさはない。時流に乗ったIT長者でもない。そのうえ知名度も低い(笑)。しかしこの本を読み終えた瞬間、ほかの誰よりも松田社長を好きになることでしょう。
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