「ウィスパー」を日本でヒットさせ、秘書として入社試験を受けてから、ついには日本人として初めてP&Gのヴァイス・プレジデントにまでなった著者の、ある意味「P&G礼讃本」。知者が実際にP&Gで行ってきた仕事や考え方が、「ウィスパー」、「パンテーン」、「ヴィダルサスーン」、「パンパース」、「ファブリーズ」等の豊富な事例で、読みやすい文体で書かれている。
内容としては、80年代から90年代前半までの「少し古い」P&Gの話が多いけど、その考え方の多くは(実践は難しくても)現代でも参考になるポイントが多い。実際にP&Gのゼネラル・マネージャーとかがどんなことを考えていたかとか、本社とどのような「せめぎあい」をしているのか等は、外資系の人でなくても面白いと思う。また何よりも、「ブランドマネージャーと同じ仕事をしているのだから」と、上司にかけあって実際にブランドマネージャーになってしまうという著者のアグレッシブさこそ、外資系にいる日本人が一番見習うべきことかもしれない。
ただ、著者の体験をほぼ時系列で書く、というスタイルをとっているため、どちらかといえば「自伝」的な要素が強く、決して網羅的でも体系的でもない。その内容やケース等の厚みも含めて、「何度も繰り返し読む」本ではないと思う。
加えて、「今の『和田浩子』ブランドを作ってくれた」とか、「私の下に配属された人たちは、今では『和田学校』の出身と呼ばれて、評価をされています」とか、自慢の広いポルシェと写っているカバーとか、あまりに強い自己顕示欲を感じる(まあ、それだけ大した方ではあるが)し、「日本企業とP&Gの根本的な違いは何か」(実際には、日本企業と比較してある訳ではない)とか、「NO.1ブランドを作るマーケティング理論がここにある」(「考え方」はあるけど、必ずしも「理論」ではない)とか、帯のコピーが少し過剰なこと。そして、1〜2時間で読めるこの厚さ・内容は「?」と思う。
よって、P&Gのマーケティングとか、女性がキャリアを築くことに興味がある方には「ある程度」参考になると思うけど、☆は2つのみで、あまりお勧めはしません。