本書の出版当時は何やら、韓国中国との不協和音もあって、誰かこういうことを言ってほしいな、と思っていることを書いてくれた本だ。要するに後知恵的に、過去の状況を裁断したりすることは馬鹿げているわけで、何とでも言える、そういうことが本書から感じ取れれば良いと思う。当時の状況をあえて正当化するわけではなく、こんな感じなんだけど、もし当時生きていたらどうだった?と問いかけてくるようで、まあ、若い世代への妥当なリードだと思う。私個人は、父や祖父らなどから当時の状況などは随分聞いていたので、むしろ、今までこの本で言っているようなことが言われていないこと自体が不思議だった。そういえば、清水幾太郎の自伝的な小論の中に、治安維持法成立当時のことなどが書いてあって、今日喧伝されているようなことと随分事情が異なる、もっとフェアーな空気だあったことがわかる。尤も清水は、それで「転向」「右傾化」などと罵られていたが、まさにそれが当時(昭和末期)の異常さだった。ただ、本書を読んで思うのは2つだ。1)国内のみならず、対外的にここで書かれているようなことを、どうやって理解してもらうか。2)戦前の日本がそれほど異常な発想のまま戦争に突入したのではないということは、「まとも」であっても、どんなことで「戦争」へ巻き込まれ、「悪役」になったり「敗戦国」になるかわからないリスクがある、ということだ。日本の為政者たちは、この辺を凄く真剣に捉えてほしいし、国民もそうあるべきだと思う。