この本の冒頭にこう書いてある。「ともだちの石を持っていない子供はかわいそう」と。
自分の子供時代を思い返してみれば、私にもお気に入りの石があった。川原や山、あるいは普通の路地裏で見つけた小さな石を大切にしていた時代が。大人になるとともに、忙しさやそのほかの楽しみにまぎれてしまって、それらの石は失ってしまった。この本に紹介されているように、地面に這いつくばって、あれでもないこれでもないと探し回った日々の楽しさも忘れてしまって久しい。そんな懐かしい子供の心を取り戻すために、私もこの本に従ってともだちの石を探そうと思う。
ともだちの石は万人に特別な石ではない。ダイヤモンドやルビーのように美しい必要もない。自分だけが納得できる色や形や大きさ、触り心地であればいいのだ。そしてその石とともだちになったとき、子供がそうであるように石の匂いを嗅ぎ、その来歴を知ることができる。それは地球を知ることなのかもしれない。手のひらに乗る小さな地球。そう考えると小さなともだちの石がいっそういとおしくなるだろう。
本書は絵本ではあるものの、絵はシュールで大人向け。文章はひらがなが多く用いられており、子供にもわかりやすいと思う。復刊が待ち望まれていただけのことはある良書です。