全国にある17の名庭園を紹介しながら、作庭のねらい、庭の構成、ポイント、関連する庭などを豊富な写真と分かりやすいイラストで可視化し、読みやすい解説を施した書です。一つの庭園に対して6ページほどの分量の解説が付きますので、適当な分量だと思いました。
このようにオールカラーで日本庭園について時代ごとにその変遷を分類してありますので、日本庭園の奥深さを知る貴重な道しるべになると思います。専門的な体裁ではなく、できるだけ平易な言葉で解説しようという姿勢は好感が持てました。
日本庭園めぐりのガイドブックとして本書を片手に実際の庭園を追体験することが日本庭園の理解への一番の近道だと思います。このような庭は自然界の美しさを再現し、その中には宇宙観のような思想までも込められています。日本人の美意識のエッセンスなのでしょうね。
本書の主な内容です。飛鳥・奈良〜平安時代 (概説)「庭」の発祥から「自然風景式庭園」へ(平城宮東院庭園よみがえった奈良時代の宮廷庭園、平等院庭園 極楽浄土の世界をあらわす ほか) 鎌倉〜室町時代 (概説)書院造庭園・石庭・回遊園路の誕生(天龍寺庭園 嵐山を借景とする勇壮な池庭、慈照寺(銀閣寺)庭園 足利義政が造営に心血をそそいだ山荘 ほか)桃山〜江戸時代 (概説)庭園文化の変遷と普及(醍醐寺三宝院庭園 現代によみがえった天下人の庭、武者小路千家官休庵露地 「市中の山居」 伝い、いざなう空間 ほか) 明治時代以降 (概説)自然風から永遠のモダンへ(無鄰菴庭園 新しい時代の息吹を感じさせる近代庭園の祖、三溪園 雄大な空間構成の中に古建築を巧みに配した近代数寄者の庭 ほか)