登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
高打率,
By シャンペン・ノヴァ (滋賀県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: しらみつぶしの時計 (単行本)
収録作は、進行中の犯罪を描いたもの(倒叙もの?)の「使用中」「ダブルプレー」「素人芸」、パスティッシュの「盗まれた手紙」「四色問題」「幽霊をやとった女」、あえて分類するなら"奇妙な味"というしかない「イン・メモリアム」「猫の巡礼」、パズル小説(?)の「しらみつぶしの時計」、それにボーナストラックの「トゥ・オブ・アス」(『二の悲劇』の短編版)の全10篇。法月綸太郎ものでは愚直なまでに本格ミステリの定型を意識している感じですが、非シリーズものを集めたこの短編集はバラエティに富んだ内容になっています。非シリーズものの短編集というと以前に『パズル崩壊』が出ていますが、『パズル崩壊』で顕著だった尖鋭的な面は本短編集では見られません。ああいう尖がった部分は、評論のほうで発散できているのかもしれませんね。 著者があとがきで「会心の作」といっている「使用中」が集中のベストだと思いますが、他のほとんどの作品も水準以上といっていいでしょう。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
1440個の時計の中から、たったひとつの“正しい時計”を見つけ出せ!!,
By
レビュー対象商品: しらみつぶしの時計 (単行本)
■「しらみつぶしの時計」1分ずつ異なり、全部で24時間を表す、 1440個の時計が配置された回廊。 「きみ」は6時間で、正しい時を示す 時計を見つけ出さなくてはならない……。 臨場感溢れる、二人称の語りによるタイムリミット・サスペンス。 唯一の正答が論理的に導き出せる、と保証されていることから、 難癖をつけるクレーマー的詭弁を封じ込めるようにゲームが構成 されているはずだ、というメタ視点に基づいた推理がなされます。 アナログ時計とデジタル時計が混在する 時計群から、選び出すべき組み合わせとは? そして、ゲームを象徴する図形だという ランドルト環(視力検査の「C」)の意味とは? トンチの効いたラストが秀逸です。 ■「盗まれた手紙」 二つの南京錠によって保護された頑丈な鉄の 状箱から、いかにして手紙を抜き取ったのか? ポオの小説に同名のものがありますが、本作は ホルヘ・ルイス・ボルヘス「死とコンパス」の前日 譚を意図して書かれたもの。 「死とコンパス」は、《後期クイーン的問題》を凝縮したような作品です が、本作は、それとは真逆なパズル的興味が前面に出されています。 探偵レンロットは、事件を連立方程式に見立て、二つ の南京錠と鉄の状箱からなる多項式を導き出します。 ■「イン・メモリアム」 デイヴィッド・イーリイ「ヨットクラブ」に倣い、 「謎の結社」を題材とした、ショート・ショート。 ■「猫の巡礼」 年をとった猫は、前半生のけがれを祓うため、足腰が しっかりしているうちに、猫の聖地へ巡礼に赴くらしい……。 心温まる、非ミステリな幻想譚です。 ■「幽霊をやとった女」 都筑道夫作品のパスティーシュ。 お定まりのシュチュエーションのもと、外套という小道具を巧みに 使うことで、往年のハードボイルドのテイストが再現されてます。 ■「使用中」 駅ビル内の喫茶店で、「密室」テーマの短篇について 打ち合わせをしていた中堅推理小説家と新人編集者。 急に便意を催した二人は、駆け込んだトイレで、 それぞれ思いもかけない災難に遭うことになる。 一人はトイレの個室で殺され、もう一人は、同じ個室の中で、死体と いっしょに閉じ込められ、出るに出られない状況に追いこまれたのだ……。 スタンリイ・エリン「決断の時」を下敷きにした作品。 下ネタ入りのドタバタ劇ですが、「密室の中に被害者以外の第三者が 閉じ込められる」という状況設定を巧みにリドル・ストーリーに処理した 快作です。 ■「ダブル・プレイ」 妻に対し、憎しみを募らせていた省平は、 バッティング・センターで知り合った男に、 交換殺人を持ちかけられる……。 『法月綸太郎の新冒険』所収の 「リターン・ザ・ギフト」の姉妹編。 交換殺人が、より狡猾な犯罪計画の 一部にすぎなかったことが、結末で 明らかになります。 真相を暗示する、タイトルもお洒落。 ■「素人芸」 妻が、無断で高価な腹話術の人形を買ったことに 腹を立てた保雄は、衝動的に妻を殺害してしまう。 その騒ぎを聞いた隣人が警察に通報し、 二人の警官がやって来るのだが……。 ロバート・ブロック「最後の演技」のテイストを目指したという作品。 腹話術の人形といった小道具で、ホラー的雰囲気を 醸成したかったのでしょうが、生々しく殺伐とした 夫婦関係とのギャップが激しく、成功しているとは 言いがたいです。 ただ、そのちぐはぐな感じが逆におもしろく、 脱力する結末も含め、味わい深い一品です。 ■「四色問題」 戦隊物のヒロインだった女性が、腹を刺されて殺された。 死の直前、なぜか被害者は左手にはめていた腕時計をはずし、 そこにナイフで、アルファベットのXのような傷を刻んだという……。 都筑道夫《退職刑事》シリーズのパスティーシュ。 判じ物的なダイイング・メッセージに、退職刑事の 昔の事件の回想がからむという趣向は、シリーズ 後期のパターンに倣ったものだそうです。 タイトルの「四色問題」は、あらゆる地図で隣りあった国どうしがおなじ色に ならないよう、四色で塗り分けることができるかどうかを数学的に証明する 問題のことで、それ自体は、本作の事件となんの関係もありません。 「色」に関しては、被害者が演じていた戦隊物と、彼女が以前 就いていた、ある職業の専門知識に着目する必要があります。 ■「トゥ・オブ・アス」 『二の悲劇』の原型となったデモ・バージョン。 短篇であるため、トリックの仕組みは長篇版よりもクリアでわかりやすいですが、 二人称叙述の挿入という作品の主題と連関した趣向がなく、人物の掘り下げも 浅いため、物語としては、どうしても奥行きや深みに乏しいものとなっています。 ちなみに、タイトルの「トゥ・オブ・アス」は、『ふたたび赤い悪夢』、 『二の悲劇』の作中に出てくる映画の題名であり、作者にとっては、 二人の従兄弟の合作者エラリー・クイーンを含意する言葉だそうです。
12 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
手堅いぞ!いいぞ法月!!,
By ジジ (東京) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: しらみつぶしの時計 (単行本)
処女作から読み続けてきた。「密閉教室」。反吐が出るほど嫌いだった。しかし、どうだ。 情緒不安定な(それが魅力の)「雪密室」や「誰彼」をはじめ、「一の悲劇」以降の快進撃。そして、本書。 揺るがない、手堅い。 そして何よりも面白い。 これまで読み手を選ぶかのような話が多かった(と思う)が、本書は読者を選ばない。誰が読んでも、充実の時間を過ごすことができるだろう。 もはや、大家の風格。 すごいぞ!法月!!(年上だけど)
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
|
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|