映像がとても美しい作品です。昔からある上野の演芸場、都電の走る風景、隅田川を流れる船、鬼子母神などの寺社、和服で歩くひとびと、そして浅草のホウズキ市などの、どこか懐かしくも、とても彩りの豊かな東京下町の美しい情景が、この映画の大切な味付け、ベースになっています。
伸び悩む若手落語家の主人公に、一見突き放したようだが実に人間くさい師匠。美女だがいつもぶっきらぼうで暗い表情をしているクリーニング屋のむすめ(香里奈さん、好演が光ります!)、彼女と主人公をあたたかく見守る祖母、失敗続きの元プロ野球選手、小学校でいじめられっこの転校生など、下町で、つまずいたり、挫折しながらも、日々をなんとか生きるひとびとの、出会いと、つながり。人情味の豊かさに癒される作品です。国分太一さんは失礼ながらオーラの泉くらいしか知らなかったが、玄人顔負けの落語場面はほんとうに鮮やかで、劇中落語なのに、おおいに笑わされてしまいましたし、感動しました。お見事!で、すばらしい熱演とおもいます。彼の演技は星5つです。
「しゃべれどもしゃべれども」こころがつながらない世の中になってきているかもしれませんし、逆に空虚なことばばかりが世の中に幅をきかせがちな気もするそんな中、人とひととのつながり、親身のこもったことばとことば、こころとこころの交流の大切さ、を問いかけられ、気づかされるような、地味ですけど心がほのぼのとして暖かくなってくるような、佳作です。