以前、月泉博著「ユニクロVSしまむら」(日経ビジネス人文庫)を興味深く読んだので、買ってみた。
ヤオコーは、知らない人も多いと思うが、私の出身地・埼玉の郊外地域ではとても活況を呈している食品スーパーで、埼玉のみならず、関東地方ではかなり出店している。ただ、都心部にはなく、郊外型のスーパーだと思う。
私は、しまむらとヤオコー、両社を知っていたが、両社がともに埼玉県の小川町の、いわばご近所さんとして、成長してきた、ということは埼玉系東京人の私も知らなかった。
このご近所さんだった両社が、共通点はあるものの、大きく違う社風、経営方針をどうして持つにいたったか、というのが、著者の書きたかったことのようである。
そのため、この本では、両社の創業以来の歴史を、本の半分くらいの量を使って、小説のようにして見せている。高杉良が、ワタミの渡邊美樹について書いた「青年社長」(角川文庫)を熱中して読んだ私には、とてもおもしろかった。ワタミは渡邊美樹が友人2人と一緒に起こした会社だが、片方の友人からは、裏切られるような形で社を去られていた。しまむらでも、創業期に社員が一斉に退社するような事件が起こっている。それが1つの原因で、しまむらでは、女子従業員や新人でも仕事ができる仕組みを作ったのだそうだ。
この小説的な部分で、両社の成長期の悪戦苦闘ぶりが明らかになり、その後、両社の経営手法の説明に入る。ここは純粋にビジネス書の分野なのだが、それまでの創業の歴史の部分を読んでいるので、両社の経営者に親近感がわいているので、とてもすんなりと読めた。著者が意図したのかわからないが、経営分析のくだりが、身近に感じられるのだ。
創業から成功にいたるまでの部分が読み物ふうに書かれているので、ビジネス書初心者の人や、小売業で起業したい人におすすめ。しまむらに関しての、経営分析は「ユニクロVSしまむら」と併読するとよいと思う。