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しのびよる破局―生体の悲鳴が聞こえるか
 
 

しのびよる破局―生体の悲鳴が聞こえるか [単行本]

辺見 庸
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

世界金融危機が叫ばれたが、"破局"は経済だけに限らない。価値観や道義、人間の内面まで崩壊の道を歩む"現代"を切り取る。大反響を巻き起こしたNHK・ETV特集を再構成し大幅補充した、現代人への警鐘の書。 --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

大反響のNHK・ETV特集を再構成、大幅補充。金融恐慌、地球温暖化、新型インフルエンザ、そして人間の内面崩壊―。異質の破局が同時進行するいまだかつてない時代に、私たちはどう生きるべきか。「予兆」としての秋葉原事件から思索をはじめる。

登録情報

  • 単行本: 166ページ
  • 出版社: 大月書店 (2009/04)
  • ISBN-10: 4272330586
  • ISBN-13: 978-4272330584
  • 発売日: 2009/04
  • 商品の寸法: 19.2 x 14 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 この1年半で世の中はどうなったか。, 2010/11/14
文庫本が発刊されるというので再読して雑感。

インフルエンザ騒動、秋葉原事件、年越し派遣村・・・。この本で語られる危機意識と符号する世情のなかで臨場感を持って呼んだのを思い出した。
本書はNHK特集を再編・加筆して09年3月に書籍化されたものだが、やはり、辺見庸は読むのがいい。
言葉で表現できないもの、うまく言語化できないことをなんとか表現しようとし続ける著者の本領は文章にある。
導入でとりあげられた最初の3つの事象は結局、なんの根本的な対策もされていないまま、現在にいたっている。
インフルエンザワクチンは数千万本があまり、破棄された。それだけ必要だったのか。報道に問題はなかったのか。具体的な検証はされているのか。
秋葉原の少年の荒みに何があったのか。人をモノ扱いする雇用状況は改善されたのか。彼らは今どのような状況にいるのか。
本書が書かれて、1年と半分以上の時間がたった。本書で指摘された危機や荒みが少しでも快方に向かいつつあるようには思えない。
本書で指摘された「無意識の荒み」への詳細な検討、資本主義を批判的にみる思考の深まり、、があったとも思えない。
辺見庸を読むと、落ち着かなくなる。
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57 人中、48人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 辺見庸というレンズ, 2009/4/19
By 
adanama (東京都江戸川区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: しのびよる破局―生体の悲鳴が聞こえるか (単行本)
2009年2月にNHK・ETV特集で放送された内容をまとめたもの。
大阪で行われた講演も収録されている。
もともと聴衆を意識したものであるためか、
語りがとてもわかりやすく、その分ダイレクトに届く。

著者の視線は、世界恐慌から秋葉原事件に渡り、
具体的な事象にふれながら、広告や資本による言葉に対する感覚の収奪、
世界と人間の生体との食い違い、それによる鈍化といった
彼なりの深い洞察に落ちていく。

辺見庸の言葉が特別なのは、
彼がすぐれた評論家や作家やジャーナリストだからではない。

私たちは、すでに習慣として、「言葉」に自分の体を賭けない。
毎日朝食を摂り、排泄し、眠るのと同じくらい日常的に、無意識に、賭けない。
しかし辺見庸は、至極逆説的にいえば、
その習慣に従うことが「どうしてもできなかった」希少な人間だ。

だからこそ読者は、彼の文章に、
最終的には登れないと分かっている崖を指で登るような衝迫を感じる。
私たちは、読むにつれて
「著者の言葉にただ賛同したり反論したりする、ただのギャラリー」
であることに耐えられなくなる。

本書は「自分たちの日常を自分の言葉で表現できなくなっている」
万人に対する、
すぐれた、そして切実な引導、スターターとしてあるように思う。
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38 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 現代を見つめて語る書, 2009/4/21
レビュー対象商品: しのびよる破局―生体の悲鳴が聞こえるか (単行本)
刺激的なタイトルに引かれて手にした一冊。
今年2月に放映されたNHKの特集番組が再編成されたものである。

「2009年のいま、歴史的にはどの場所にもあてはめることがかなわない視えない奈落が広がっている。(中略)自分にはとうていやることはできないだろうけれども、ある種の本能として、いまの世界をなんらかのかたちで、必死になって表現しなければいけない。」

そんな深い思索の中から紡ぎだされたメッセ−ジ、難しい言葉使いにいささか戸惑いつつも、あくまで語り口調で、読む者の心に次々と飛び込んでくる。そして読む者を思索の世界に誘ってくれる。
まさしく読む人の内面の湖底に、著者の言葉が降りていく感じである。

 現代の状況を、金融恐慌、地球温暖化、新型インフルエンザなどの外部世界での崩壊とともに、人間の内面での崩壊という、異質の破局が同時進行するいまだかつてない時代ととらえる。その内面での崩壊こそ、タイトルにある「生体の悲鳴」であり、しのびよる「破局」である。
 そうした時代に、私たちはどう生きるべきか、との根源的な問いを、自らに投げかけると同時に、私たちに問題提起する。人間の内面での崩壊の「予兆」として、あの衝撃的な秋葉原事件からはじまる。

 著者は、現代人の状況を“失見当識”だと指摘する。つまり、現在自身が置かれている状態を認知する能力である見当識(=オリエンテ−ション)が、なんらかの原因で障害を起こし、時間、空間、人物や周囲の状況、関係性をただしく認識する機能が正常に作用しなくなっている状態だという。

 また、情報の伝達と受容の即時性に翻弄される今日の情報のデジタル化、時計化された時間によって、時間と空間を感じる力を失ってきているとも指摘する。人間は思考的な生きものではなく、反射的な有機体であることが求められる、世界と他者について反復して思索し、想いを深めていく人間的な行為、 その人間的な習慣をどこかで忘れたようだともいう。

   「今日は昨日のつづき、明日は今日のつづきという慣性」

メディアが流す大量の情報の中で、表面的にはなんとか平穏な日常生活を送っている私たちへの警鐘のメッセ−ジ、
<人間の価値を貨幣の価値で測ろうとする社会・時代>への問題提起の書といえよう。
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