文庫本が発刊されるというので再読して雑感。
インフルエンザ騒動、秋葉原事件、年越し派遣村・・・。この本で語られる危機意識と符号する世情のなかで臨場感を持って呼んだのを思い出した。
本書はNHK特集を再編・加筆して09年3月に書籍化されたものだが、やはり、辺見庸は読むのがいい。
言葉で表現できないもの、うまく言語化できないことをなんとか表現しようとし続ける著者の本領は文章にある。
導入でとりあげられた最初の3つの事象は結局、なんの根本的な対策もされていないまま、現在にいたっている。
インフルエンザワクチンは数千万本があまり、破棄された。それだけ必要だったのか。報道に問題はなかったのか。具体的な検証はされているのか。
秋葉原の少年の荒みに何があったのか。人をモノ扱いする雇用状況は改善されたのか。彼らは今どのような状況にいるのか。
本書が書かれて、1年と半分以上の時間がたった。本書で指摘された危機や荒みが少しでも快方に向かいつつあるようには思えない。
本書で指摘された「無意識の荒み」への詳細な検討、資本主義を批判的にみる思考の深まり、、があったとも思えない。
辺見庸を読むと、落ち着かなくなる。