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この小説中には「」が出てきません。名前すらほとんど登場しない登場人物たちの延々とポルノを繰り広げる場に
筆者が絶対者として君臨し、見たままを客観的批判を交えて描く、という感じで、小説の殻を打ち破っています。
韻文、淡々とした仏独系リアリズム、皮肉的描写、ポルノ性、ということで好き嫌いがはっきり分かれると思います。
純粋な意味で「文学」と言えるか、また、ポルノを延々と描く小説を対象にしてよいのか、という点で
ノーベル文学賞は微妙ではないかと思いました。ドイツではベストセラーだったようですが、あまり日本人向きでは
ないと思うので、一度手に取ってから購入を決めたほうがいいかもしれません。
また、メタファーの連発に翻訳も苦しんだようで、淡々とした描写の度合いを一層強めているのでは?という
感じの訳になっています。邦題の「したい気分」も、名づけ理由は読みましたが、原題のニュアンスを生かそうとして
逆に不自然なものになっていて、失敗だと思いました。
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