富士見ミステリー文庫の1冊でありますが、ミステリーの部分は実にあっけないほど、あっさりしています。安楽椅子探偵物やあるいは、美少女版シャーロックホームズとワトソン博士を期待すると、期待はずれに終わります。でも、それは、死体のおどろおどろしさに騙されて、みんなびっくりするけど、実は単純な事件(事故?)でしかないというこのシリーズのテーマから考えると当然なのかもしれません。(そういう意味では、このシリーズはミステリーというジャンルそのもののパロディーなのかも知れません。)
この巻での、楽しみ方の1つは、しずるさんの4つのお姫様のおとぎばなし(物語?)の解釈であり、(これがまた、独特というか、偏屈というか・・・)もう1つは、この病院(研究所?)で皆から姫と呼ばれるしずるさん(よーちゃん流の解釈も出てきますが、それが正しいという保障はない)、そのものの謎=彼女は本当に病気なのか?そもそも何者?人間なの?がますます深まって、ミステリーの本筋が単純なのに反して、こちらはまったく、先が読めません。
でも、もしかすると、本当の謎はしずるさんの正体ではなくて、実はよーちゃんのほうだったりして・・・。いや、そもそも、実はどうでもよさそうな、書き下ろしのチクタクのほうが、本文でそれ以外が挿話だったりするかも・・・といろいろと想像を膨らませることができるのが、このシリーズの魅力です。