博学の著者が「文庫書き下ろし」として上梓。「私」「家」「共」「生」「死」にかかわる日本文化としての「しきたり」をご自身の思いを込めて解説されている。
生活の中の「しきたり」の元々の意味とねらいが丁寧に解かれていて納得できる。〜しなければらないとか、〜してきたから守れでなく「しきたり」の持つ合理性を探求されていることが参考になる。形式よりも「なんのためにそうするのか」そして「原初のかたちはどんなものだったか」を大事に考えながら・・という著者の願いがみごとに生きている。
「おみくじ」について、寺社の境内の樹木の枝に結びつけられた「おみくじ」の数に驚きながら、「おみくじ」を引いて「吉」が出ても枝に結んで帰る方がある。と著者
試しに私の知人の若い人に聞いてみると
「えっ、じゃどうするの私はいつも結んでいたけれど・・」「吉」「大吉」はお守りに持って帰るのが当たり前でしょうが・・「そういえばそういうことになるねえ」「悪いおみくじを樹木の枝に結んでこれから良くしてくださいお願いすればいいんですね」「結び方にも何か意味があるの?」本書で学んでください。単なる実用書ではないことがよくわかります。
神仏習合の日本文化の不思議さをたどりながら、「しきたり教育」も必要であろうという著者に賛同したい。しかし伝統の意味を次の世代に伝えるにふさわしい力量にはほど遠い自分を今こそ見つめたいものです。