謎のヨガ師ヨギガンジーは、新興宗教団体「惟霊講会」を揺るがす教祖継承問題に首をつっこむ羽目になる。そこで手にした布教用の小冊子「しあわせの書」。なんの変哲もないこの本には、深慮遠謀が隠されていた…。
たまたま他の方のレビューで本書のことを知り、「とにかく、ただ本を読むだけじゃなくてうれしい驚きを与えてくれるシリーズなのである」という意味深長なその言葉に引かれて、この1987年の文庫書き下ろし作品を読み始めました。
読み進めながら訝しく感じたのは、233頁のこの物語には、さほどクライマックスらしい大きな展開はなく、どうみても驚きと呼べるほどのものが見えてこない点です。ミステリーとしてはかなり平凡なのではないでしょうか。ヨギガンジーやその仲間である美保子も不動丸も、なんだかテレビの2時間ミステリーに出てくる型にはまった感じのおどけたキャラクターで、三文小説風です。
そして230頁目を過ぎて、事件も一応の決着がつき、物語はこのまま終わってしまうかにみえます。なんだ、この程度の物語か、なんともつまらない、と思ったそのとき!!
おもわず私は「えっ!まさかっ!そんなことって本当に出来るの!?」と声を上げ、寝転がっていたソファから驚きのあまり飛び上がってしまったのです。
そうなのです。そんなことが出来てしまうのです。
詳細は残念ながらここに書くことは出来ませんが、230頁もの間、とてつもない企みが目の前で常に展開されていながら、私自身、全く気がつかなかったことに大きな驚きを味わいました。たとえて言うならば、まつ毛が目に映らないかのような、その見事なトリックに呆然としました。
まさに他の方のレビューにあるとおり、「こういうことを思いつくのもスゴイとおもうが、それを本にして出版しちゃう出版社もエライ」。