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15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
今の世代に琵琶を再び伝えられる小説。,
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レビュー対象商品: さわり (単行本)
私は琵琶を演奏しており、鶴田錦史さんのノンフィクション小説を取材している方がいることは、噂で10年ほど前から知っていました。この作品がこのたび受賞され、作品となったので早速手に取り読みました。 鶴田流を作った人、鶴田錦史のノンフィクション。 彼女の周囲には琵琶界アイドル水藤錦穣、琵琶界フィクサー水藤枝水がいた。彼らなしには鶴田錦史が大きく羽ばたけなかったのではないかと思います。 ここらへんの隠れた状況は琵琶人ならば当然知っているけども公に口にしない事柄でした。 なので、今回発刊されたことで「ここまで言ってしまったかー!」とも思いましたが、それに対しては誰も嘘だとは言わない。 つまり、本当だったのだな、と改めて思いました。 琵琶の演奏家とはかかわりのない作者の方が、ここまでよく取材されていると感じました。 少なくとも、書かれていることに嘘はなく、関係者から集めた資料、聞き書きによる直接取材を中心に据えられているので改めて「そうだったのか」と 思わされるところが多かったです。 超人気女流琵琶演奏家として幼い時から華やかな舞台を作りながらも最後は借金生活でも琵琶一筋を貫いた水藤錦穣。 女としての人生、生まれた子供まで捨て、一度は琵琶も捨てた鶴田錦史。最後は金に物を言わせて?琵琶界に復活し、世界へ琵琶を知らしめた天才琵琶師。 どっちのあり方がが正しいのかなんて一概に言えない。 ただ、琵琶がこんなにも人の人生の中心に据えられている時代があったのだな、と。 琵琶の演奏家でこれほどドラマティックな人生を歩んでいる人は今はほとんどいないのかもしれません。 というより今は演奏家自体がほとんどいないこの世の中。 琵琶にかかわるものとして、この小説を通じていろんな方がまた「語り」芸の琵琶を聴くきっかけになることを願ってやみません。 作者の方の取材努力、熱意は琵琶人として大きく評価させていただきたいと思います。
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
底知れない人間の意志の力に圧倒されます,
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レビュー対象商品: さわり (単行本)
主人公の鶴田錦史のことは、本を読むまでは知りませんでした。ただノヴェンバー・ステップスという曲は知っていて その奏者であることと、数奇な人生に興味を魅かれて 本書を買いました。 結果としては、とても満足の一冊です。 大いなる人物の一生を味わってみるということは こんなに面白く、興奮することだったのだと 久しぶりに感じる本でした。 いつも、自分の祖父母を含め 人生を送ることが、恐らくは私よりも 圧倒的に困難であった世代の人の体験を聞くとき そこに無条件に敬服せずにいられないのですが (戦争体験だけでなく、個々人の運命という点でも) この天才的な琵琶師であった人物は なんと多くの人生を味わわざるを得ない人だったか、と 憧れ、畏怖、そして(もちろん)多少の羨望を 感じずにはいられませんでした。 鶴田錦史は、小学校低学年から 一家の家計を支える天才児であり、 幼い頃には年の離れた兄による厳しい躾と支配、 思春期には容貌によるあからさまな待遇の差、 青年期には夫の浮気と離縁、という さまざまな過程を逞しく乗り越えます。 そこには、フェミニズム的な心の屈折や いじけを多少は感じないではありません。 でも、自分の心に負けきってしまわない 強さを彼女は持っていた。 「男装」は、あくまでも彼女が「生き抜くため」の 強さだったと感じさせてくれるだけの明るさが 行間や、残された写真にこもっています。 自分が同じ環境に生まれたとして、 どれだけ自分の人生を受け入れ、 さらに境遇の中から某かつかみ取り、 自分の意志を持ち続けることができたろうか と、ほんの少し想像するだけでも、 彼女の偉大さと人間としての強さ、魅力が よくわかります。 人間の意志の力、心の美しさとは どれだけの深さと広さ、そして明るさを持てるのか 考えさせられます。
14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
もっとつきつめた何かが表現されてほしかった,
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レビュー対象商品: さわり (単行本)
鶴田錦史は武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」の初演者の一人と知っていました。男装の人とも、ナイトクラブ経営で成功した謎に包まれた経歴の女性だということも読んだことがあります。 それだけに興味を持って(偶然新聞掲載の本の広告を見て)読みました。 ざっと一生を駆け抜け記載した評伝という感じでしょうか。 彼女が隠したかったものを暴露ものではなく、描写することはできなかったのか。 何とも煮え切らない印象が残りました。 鶴田錦史という一人の女性は、この本の中でもやはり遠い存在のままです。 本を読み終え、数少ないCDに残る彼女の演奏をもう一度聴きたくなりました。 やはり演奏家は演奏を知るだけで良いのかもしれません。
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