相変わらず、時々襲ってくる桁外れの厄介事を除けば、賞金首探しや大小様々な厄介事で日銭を稼ぎつつ日々を送る攻性咒式士のガユスとギギナですが、彼らが住むエリダナの街では生活に困窮した労働者たちによるデモや破壊活動が展開され、街にやってくる投資家を狙おうとする不穏な雰囲気が漂います。その上ガユスの恋人ジヴーニャが行きがかりで他人から託された謎の指輪と言葉を求めて、北方の小国ピエゾ連邦共和国の墜ちた勇者ウォルロットがエリダナに現れ、強大な<古き巨人>たちと指輪を巡って激闘と繰り広げ、ジヴーニャはウォルロットに拉致されます。更にはピエゾ連邦共和国の民族紛争と戦争の危機にモルディーンと十二翼将が各地で暗躍する中、ガユスとギギナも精一杯あがくのですが、<古き巨人>たちはあまりに強すぎて、ウォルロットらと一時的に共闘しても苦戦と言うにはあまりに表現が甘すぎるほどの厳しい戦いを強いられ、何とか勝てても満身創痍。おまけに一連の騒動の中、ガユスの命と己の貞操その他諸々を天秤に掛けてウォルロットと行動を共にすることをジヴーニャに告げられたものですから、ガユスは身も心もボロボロになってしまいます。
本筋としてはそんなところですが、私としては外資による企業買収で多くの労働者が仕事を失い破壊活動や投資家への殺意に走るエリダナの現状が、リアルで昨今しきりに取り上げられているワーキングプア等の問題と重なることからとても気になりました。作中に登場する投資家の台詞だと、世界的な流れだからどうしようもないということですが、ただ流れに乗るだけというのはどうだろうかと思いますし、かと言って破壊活動や資本家を殺すことで解決するほど単純でないことは分かります。
そんな様々な要素を詰め込むものですから600ページ近くの厚さで、更に次の巻に話が続くというのですから、一体この先どれだけのページ数で、どんなストーリーが展開され、どんな結末になることやら。ただ、予定調和、勧善懲悪と言ったありきたりな要素は許さないハードなものになることだけは確かでしょう。