ライトノベルとしてはあまりにシビアな展開で話題を呼んだシリーズですが、スニーカー文庫の新刊や、ザ・スニーカーの短編久しく見ないと思ってたら、ガガガ文庫でリニューアルされて出たというではありませんか。
角川から移るまでにどんな経緯があったか知りませんが、既に読んでストーリーの大筋は分かっているとは言え出たのなら読んでみようと思って買いました。
そうしたらまあ、ストーリーの大筋は変わってませんが、これ以後の話の内容を踏まえてか、スニーカー文庫と比べて文章に大幅な書き換えが見られます。校正を急いだのか、所々に文字のミスなどが見られますが、その辺は重版がかかれば修正されるでしょうし、内容を理解するのに支障はありません。
スニーカー文庫を読んでない人のために説明しますと、魔法に科学的要素を加えて理論付けた感じの、咒式と呼ばれる技術による文明が発達した世界を舞台に、高階梯の咒式の使い手であるガユスとギギナのコンビが様々な事件に取り組む物語なのですが、他のファンタジー小説と決定的に一線を画しております。
何が違うかと申しますと、主人公にして語り手であるガユスは世界の危機を救う勇者などではなく、世界の基準ではとても強い力を持ってはいても決して無敵ではなく、むしろ自分の力ではどうにもならないことが多い状況にさらされて苦悩しながら、それでも次々と襲ってくる危機を何とか打開しようともがいています。
しかし状況はほとんどの場合無慈悲に働き、神は助けてくれないし、奇跡も決して起こらない。持てる力の全てを駆使した結末は、いつも最悪よりはましだと思いたいようなものばかりですが、それでも過ぎた時間は戻らない以上、前へ進んでいくしかないのです。
そんな無情で乾いた作品ですから、好き嫌いは大きく分かれると思いますが、予定調和なライトノベルに飽きたという方は、一度読んでみてはいかがでしょうか?。