この作品に対して誤解している人が多いような気がする。まず、The WHO の「四重人格」の完全映画化という誤解。この映画はあくまで60年代のイギリスのやり場のない青少年を内面を描いたオリジナル作品であり、展開において「四重人格」の歌詞を用いている点がユニークなのである。
そして、この映画の主人公ジミーのやることが暴動事件以来全て悪い方向に働き、家からも見放され、彼女や友達にも裏切られ絶望感のなか彼の希望でもあったエース(スティング)の現実の姿を垣間見てどん底に突き落とされ衝撃的なラストになだれ込む。そうした救いようのない自己破壊的なストーリーのように思われている点も大きな誤解だ。そう思っている人はこの映画の冒頭のシーン(夕陽に照らされる海をバックにジミーが歩いてくるシーン)を忘れているのだろう。これが衝撃的なラストシーンの続きだということを。ベタな邦題「さらば青春の光」はまさにこの映画の冒頭の部分とラストの部分を説明したもの。「青春の光」とはモッズとしてのジミーの青春であり、その象徴的な存在がエース(スティング)だといっても良い。これは、その青春との決別、少年から大人への成長にいたるまでの過程を描いたもの。決して、自己破壊的な青春群像映画ではない。
「四重人格」の歌詞に沿って物語が展開する後半はスリリングで面白い。特に「ベル・ボーイ」がバックで流れるなか、エース(スティング)の現実の姿をジミーが見る瞬間は最高。エースの役もスティングがピッタリだった。
ただ、モッズの群像を描く前半はテンポが悪いうえ、説明不足な点も多いのが残念。DVDとしてはもっと画像と音質を良くして欲しかった。結構好きなタイプの映画です。